みがあって,入院しました。血液培養でMRSAが検出されました。多発性の肺炎も起こしていました。おそらく同じMRSAによる肺炎でしょう。これはバンコマインンを使って治療をしたのですが,なかなか熱が下がらない。よく調べたら副鼻腔炎もあった。AIDSの患者は病状が進みますと副鼻腔炎を起こしやすいようです。これに対するタイメンテンという抗生剤をバンコマイシンに加えて投与したところ,ようやく熱も下がりました。それで自宅でバンコマインンをさらに続けて(計6週間投与),それから食道カンジダ症もありアンホテリシンBの静注も続けることにして退院になりました。
写真5はカポジ肉腫です。派手に見えますが,皮膚の病変だけではそんなにすぐに生命が左右されることはありません。これが肺や消化管など内臓にできた場合などにさまざまな合併症を起こし,生命にかかわります。これには化学療法が効きます。あるいは放射線をかける場合もあります。最近はHCGというホルモン療法も試みられて,有効性を示すデータもあります。
これは肝臓の中の播種性非定型抗酸菌症を示します。肝臓の組織の中に非定形抗酸菌がぎっしり詰まっています。播種性の非定形抗酸菌症はCD4が50未満となり,AIDSが進行した段階で高率に見られて,不定の発熱や倦怠感などを生じます。すぐに生命にかかわるわけではありませんが,クラリスロマイシンとエタンプトールを併用して治療することができます。
次の患者は食道カンジタ症です。これもAIDSの症例の定義に入っています。
写真6はHIV感染者にしばしばみられる口腔内のカンジダ症ですが,AIDSでなくてもこういう病変は抗生剤を使っている人などにしばしば見られます。ところがまったく抗生剤も何も使っていない人でこういう