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よくなると,フルコナゾールの内服を一生続けます。

サイトメガロウイルス網膜炎もCD4が50を切ると起こることがあります。これにはガンシクロビルという薬が効きますが,維持療法として週5日間くらいのガンシクロビル点滴静注を一生続けないと高率に再発を起こします。この薬剤に対してもやがて耐性になって途中で効きが悪くなり,悪化することがあります。このような場合はフォスカーネットという薬を使います。どちらも副作用が多い薬であることが問題です。よりよい薬,よりよい治療法が今後期待されるわけです。

それからヘルペス感染もよくあります。口の中,肛門の周りなどに重症なヘルペスによる潰瘍などを起こすことがあります。これに対してはアシクロビルがよく効きます。これも一生治療が必要です。

播種性非定型抗酸菌症(mycobacterium avium complex)もCD4が50未満の患者にしばしば合併して発熱や全身的なだるさや下痢などの症状を起こします。すぐには致命的にはなりませんが,やはりクオリティ・オブ・ライフに影響しますので,治療をすべきです。クラリスロマイシンなどが有効です。感染予防にもこの薬が使われます。

結核に対しては抗結核薬が通常よく効くわけです。ただ米国ではアイナやリファンピシンなどの抗結核薬に耐性を獲得した結核菌がとくにニューヨークなどの都会で増えてきていることが問題です。

 

12.HIVウイルス量と病勢

最近,AIDSウイルス(HIV)に対する治療法が非常に進歩しました。一つはHIVの量を定量することができるようになったからです。血液のHIV-RNA量を測ることができるようになりました。このウイルス量が身体中のウイルス量とある程度相関すると考えられていて,病気が進行するとこのウイルス量は多くなり,治療してよくなるとウイルス量

 

 

 

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