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感染していないと見なせます。

抗体検査の方法はスクリーニング法と確認法があります。スクリーニング法としてよく用いられているのはPA法とELISA法です。これらの検査は感度がよく特異性も高いのですが,ときにHIVに感染していない人でも陽性に出る場合があります。たとえば妊婦や,SLEなどの膠原病の人が陽性になることがあります。したがってスクリーニング検査で一回陽性であったからといってすぐ陽性と決めてはいけません。必ず確認検査をやる必要があります。よく用いられる確認検査法はウェスタン・プロット法(Western Blot法)です。これらの検査で両方とも陽性であった場合には,HIV抗体陽性と判定して患者に告知するわけです。

 

10.HIV感染者の経過と症状

AIDSウイルスの感染後の経過ですが,感染者の約半数は,感染して2〜4週間たつとインフルエンザのような症状,つまり発熱,咽頭痛,頭痛,リンパ節腫大,筋肉痛,関節痛,発疹などの症状を起こすことがあります。血液を調べるとリンパ球がふえていて,伝染性単核球症のような血液像を示すことがあります。それも自然に1〜2週間で治っていくのです。その後まもなくして血液中にHIV抗体ができてきます。これはHIVによる急性感染症状で,この時期には血液中のウイルス量が非常に増えています。しかし,その後に身体の免疫反応がウイルスを排除しようと働いて,ウイルス量がまた減るのです。そしてやがてHIV抗体が血液の中に検出されるようになるのです。

長期無症状期がそれに引き続いて起こります。これは数年から10年前後に及びます。しかし,多くの人はこの時期にも徐々に身体の中のウイルス量は増加し,CD4リンパ球が破壊されるのです。もちろん,この

 

 

 

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