症状で救急外来を受診する患者もありますが,そこで分泌液を染めて,顕微鏡検査で淋菌が検出されて診断がつくケースが多いのです。ときに睾丸炎,副睾丸炎,前立腺炎を起こすこともあります。女性では子宮頸管炎や骨盤腹膜炎等を起こすことがあります。
時に菌血症を起こして,淋菌性関節炎を起こすことがあります。整形外科に手の指の関節炎で来院し,関節穿刺液を調べたら淋菌が検出されて診断された例もありました。治療はニューキノロン系抗菌薬や第3世代セファロスポリン(セフトリアキソン)などがよく効きます。
3.クラミジア
クラミジア感染症は最近増えてきている感染症です。成人では男性の3〜5%が尿道に感染しているというデータがありますし,妊婦の約5%が感染しているというデータがあります。札幌医大で妊婦846人について調べた結果,19歳以下では何と39%が感染していたとのことです。年齢が上になるほど感染率は下がるようです。これはつまり性行為が非常に活発で,とくに複数の人と性交渉があるような人は感染の率が高いわけです。性交によって男性から女性,あるいは女性から男性と相互に感染するリスクがあるわけです。
臨床像ですが,女性の場合は7割は無症状で,3割に症状があります。帯下が多いとか,下腹部痛などの症状を起こすことがあります。また女性の場合の合併症としては,子宮頸管炎,子宮内膜炎,卵管炎,骨盤腹膜炎などを起こして,あとで卵管の癒着等を起こして不妊の原因になったり,子宮外妊娠の原因になったりすることがあります。さらに続発症としては肝臓の被膜にまで炎症が波及して肝周囲炎を起こすことがあります。その場合は右季肋部の痛み,とくに吸気時に痛むという症状を伴います。実際に血液検査で肝障害が半数くらいに見られます。