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慢性的なキャリアになることはごくまれといわれております。

サルモネラの中でも腸チフスを起こす菌があります。Salmonella typhiです。またパラチフス菌であるSalmonella paratyphi。これらは主に東南アジアなど発展途上国へ行った折に感染するケースが多いわけです。これは菌血症を起こします。菌が血液の中に回り,全身症状が強く,下痢を伴うこともしばしばあります。法定伝染病です。海外旅行者に時々見られます。これも生ものを食べたことが原因になることが多いのです。

私の経験したケースでは,東南アジアに行って,ホテルでアイスクリームを食べたので,それが原因ではないかと思いますが,2週間後に発熱で発症した人がありました。腸チフスも早く診断して治療すれば治ります。

 

2)腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは夏に多い胃腸炎の起因菌ですが,これはもともと海水中にいて塩分を好む菌です。生の海産の魚介類を介して人に感染を起こすわけで,魚介類の刺身や生鮨を食べた後に感染する可能性があります。潜伏期は12〜24時間で,下痢,腹痛,吐き気,嘔吐,発熱です。たいていの場合,抗菌剤は不要で治ります。予防としては,魚介類を調理する場合はとにかく海水をよく洗い流す。水でよく洗って付着している菌をよく除去することです。さらに熱を通せば問題はありません。

腸炎ビブリオ,すなわちVibrio parahaemolyticusという菌は胃腸炎を起こすのですが,Vibrio vulnificusという菌は重症な感染を起こす可能性のある菌です。頻度は少ないのですが,日本では主に西日本に見られ,時に千葉でも報告があります。これは大部分は肝硬変の人に起こりますが,そのほか免疫不全者がこの菌で汚染された魚介類を食べた

 

 

 

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