日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 社会科学 > 社会 > 成果物情報

ライフサイエンスシリーズ「緩和ケアにおける症状観察とコントロール」

 事業名 保険医療に関する教育及び調査研究
 団体名 ライフ・プランニング・センター 注目度注目度5


とが理解されず,弱い効力の薬を用いていることが多いため,痛みが解決していないのが日本の医療の現状といっても過言ではありません。

癌患者の痛みのすべてが癌病変によっておこっているわけではありません。70%の痛みは癌病変が直接原因となっていますが,30%は治療が原因で痛みがおこっていたり,全身衰弱に合併した褥創や便秘などによって痛みがおこっていたり,ときには五十肩による痛みのように癌にも癌治療にも関係のない痛みがおこっています。

これらを鑑別するのは医療側の役目ですが,患者さんにとっては原因が何であっても強い痛みが長くつづいているのは困ることなのです。よく,患者さんは痛みを訴えないという言葉を聞きますが,訴えさせていないのではないかと私は思っています。

患者さんは,一つひとつの症状を訴えて忙しそうな医師や看護婦をわずらわせてはいけないという気持ちをもっています。医師が問いかけて訴えを促したり,看護婦が患者さんに医師への訴え方を指導することが必要だと思います。

癌患者の痛みは身体的原因によっておこるのです。心が原因では身体的な痛みはおこりません。このことはよく理解しておいてください。

しかし,心の状態によって身体的な痛みの感じ方が強くなったり弱くなったりします。身体に原因があっておこる痛みが,心の状態に修飾されるのです。患者さんの感じている強さの痛みが治療の対象です。痛いという症状は,患者が感じている強さの痛みです。医師や看護婦が,この人の痛みはこうであろうと先どりして考えている痛みではありません。ここのところを間違えると,痛みの治療はうまくいかなくなります。

患者さんの痛みの訴えをよく聞いてみると,ほかにももっと軽い痛みがいくつかあることが多いのです。軽いほうの痛みはしばしば見逃されているのです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
373位
(35,690成果物中)

成果物アクセス数
31,750

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2023年4月1日

関連する他の成果物

1.「保険医療に関する教育及び調査研究」の報告書
2.生活医学シリーズNo.115「生活習慣病としての心臓病」
3.生活医学シリーズNo.116「ストレスと心身症」
4.生活医学シリーズNo.117「家庭介護のコツ?朝の身じたく、身だしなみ」
5.生活医学シリーズNo.118「コレステロールと私たちのからだ」
6.生活医学シリーズNo.119「心のケアと人間的成長をはかるカウンセリング」
7.ライフサイエンスシリーズ「電話相談技法」
8.ライフサイエンスシリーズ「ナースのための最新感染症学」
9.国際フォーラム・ワークショップ「病院、外来及びホスピス、在宅ケアのQOL向上をめざして」テキスト
10.セミナー・講習会案内パンフレット一式
11.JBS日本福祉放送 収録風景写真
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から