り採用された若い世代が公務運営の中核を担う時代になった暁には、上記の意識改革が達成され、効果的・効率的な業務通常の道筋が構築されていることであろう。
(3) 職員の能力開発
効果的・効率的な行政運営のためのもう1つの鍵は、職員が行政執行に必要な能力を有することである。特に、現下のヴィエトナム政府の給与水準においては、必要十分な能力を有する者を、中途であれ、新規であれ、大量に公務に採用することは困難であり、既存の職員のレベルアップが不可欠であろう。
研修の重要性はヴィエトナム政府も認識しており、国家行政学院の設立・充実などに努めているが、財政的制約、適切な講師の人材不足に直面しており、研修施策の見直しを迫られることになろう。
今研修において最も必要なのは、経済理論や政治哲学ではなく、日々の業務をいかに行うかという技術の面であり、技術習得には研修所における研修にも増して、日々の業務を通じた研修(OJT)が重要である。ヴィエトナムにおいてOJTの重要性が認識され、実際に展開されているかは疑問であるが、予算・講師人材の不足を補う意味でも、OJTの充実は不可避と思われる。
OJTの他に、研修、さらに効果的な政策立案の鍵を握っているのは、いかに外国の成功例、失敗例を効率的に学ぶかという点である。すなわち、諸外国の実例を学び、自国の状況に照らした政策を立案し、又は行政を執行できることが、後発国の有利な点であり、このメリットをいかに生かすかである。この点はヴィエトナム政府も十分認識し、政策の立案・制度の構築にあたっては、諸外国の例を参考にしており、我が国政府も技術協力の一環として、同国に指導に赴いたり、政府職員に対する研修を実施している。
ただ一点気になるのは、こうした技術協力の際にはヴィエトナムの制度・実態を把握した上で実施した方が、より効果的・効率的であるが、ヴィエトナム政府はこれらの情報をあまり開示しないことである。より率直な意見交換、実態に基づく指導が、より効果的な技術協力につながると思われるし、また、政府にとって心地よくない情報であってもオープンにすることが、政府の信頼性を高めることになるであろう。
ヴィエトナムでは現在、子弟に対する教育熱が高まっており、ヴィエトナムからの移民や留学生が欧米の大学等で優秀な成績を修めている例を見ると、この国の知的潜