第3節 公務員制度の概要
1 公務員制度の変遷
中国の公務員制度は、1949年の新中国成立後、革命戦争時代の経験等を基礎に、社会主義革命と社会主義建設の需要に応じ、以下のような変遷を経て確立された。
(1) 第1段階(1949年の新中国成立〜1966年の文化大革命開始まで)
中華人民共和国の成立により与党となった中国共産党は、革命戦争時代の幹部管理の経験を基礎に外国の経験、主に旧ソ連を中心とする東欧社会主義諸国の公務員制度を参考にして関係法規を整備するとともに、採用、任免、研修、賞罰、給与、厚生福祉、移転軍人と大学専門学校卒業生の配置等を含む幹部管理諸制度を形成していった。
中国における「幹部」の概念は概ね次の6種類に分類され、国家のトップから一般職員に至るまで、それぞれのレベルは異なるものの、下記すべての者が党組織の管理下にある「国家幹部」とされた。
?@ 国家機関幹部: 立法機関(人民代表大会常務委員会等)、行政機関(中央政府・地方政府)、司法機関(裁判所・検察院)等の職員
?A 党務幹部: 共産党、各民主党派で党務に従事する者
?B 軍隊幹部: 小隊長以上の人民解放軍軍人及び文官
?C 社会政治団体・大衆団体幹部: 各級の政治協商会議、労働組合、共産主義青年団、婦人連合会、各種の学会、協会、連合会の専従者
?D 専門技術幹部: 教育、科学、文化、衛生、財政、会計等の専門的技術職従事職員
?E 業務行政幹部: 国有企業、事業団体で専門的に経営管理業務に従事する職員
これら幹部の管理は、軍隊幹部を除き、中央と各級の党委員会組織部が行い、それに協力するため、行政府の国務院に人事局を、更に国務院の各部・委員会にも人事行政機関を設置した。この中央・各級の党委員会による統一管理は、その後の国家行政機関及び幹部数の増大に伴って機動性を失い、新しい情勢と経済発展にも適応できなくなってきたため、1950年11月、国務院人事局及び各部・委員会に分散していた人