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第2章 中華人民共和国

 

第1節 はじめに

 

中国では、1979年に開始された改革・開放政策により、1995年までの17年間のGDP成長率が年平均約10%の高度成長を達成した。この間、公務員や労働者の平均賃金は約9倍、1人当たりの貯蓄額は80倍を越える約1800元(約22,000円)となり、都市のほとんどの家庭でカラーテレビが普及するなど、国民の生活水準が大幅に向上している。貿易総額は、1978年の206億ドルから1995年の2,808億ドルヘと13倍に、外国からの直接投資も、累計約26万件、3,900億ドルと、対外経済も急速に拡大している。

しかし、その一方で、経済の急成長に伴うインフレ、半数以上が赤字経営となるなど国有企業の停滞と失業者の増大、個人的・地域的経済格差の拡大、共産党幹部や官僚の腐敗化、治安の悪化等の問題が深刻化しており、また、少数民族(ウイグル族、チベット族等)による独立・分離活動の問題も重要課題となっている。

上記課題のうち共産党幹部や官僚による不正、腐敗については、中国においては古くから指摘され、過去にも幾度となく解消に向けた努力が重ねられてきた。

また、中国政府は、1980年代後半以降、社会主義市場経済化の推進を担う優秀で清廉な公務員を育成するためには、科学的かつ近代的な公務員制度の構築が不可欠であるとの認識に立ち、行政組織改革及び公務員制度改革を積極的に推進し、1993年8月には「国家公務員暫行条例」を制定して、それまでの古い幹部制度からの脱却に向けて一歩踏み出したところである。ところが、このように公務員制度が法的に整備されても、実際にはなかなか共産党幹部や官僚による不正や腐敗が後を絶たないのが実態のようである。

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