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荷送人の運送人との間の運送契約は、荷受人の代理として行うものでもある、という規定を置くことによって、荷受人と運送人との間に権利義務関係を生じさせようというものである。

このような規定により、運送品が到着地に着いた後は、運送契約によって生じた荷受人の運送品引渡請求権や損害賠償請求権などを荷受人が取得することになる。

 

4.SWBの今後の問題点

わが国を中心とした支払条件について、L/C取引の代わりに送金取引が増えている現状をみると、現時点でも、貿易取引におけるSWBの利用価値は十分あると考えられる。SWBは、CMI規則の制定に加えて信用状統一規則やINCOTERMSでも既に認知されているが、輸出手形保険の適用やCMI規則の改善などの面で検討すべき点も少なくない。

また、開発途上国においては、税関のSWBに対する理解の欠如や法令等の改訂も遅れていたりしていて、申告書類の一部として受理されないケースもある(コロンビア、チリなどで)が、これらの国々に対しては、今後も、SWBの宣伝・普及活動を続けていくことで解決できると思われる。

現に、SWB導入の初期の時代(1980年代の始め頃)には、相手国の規制や税関職員、買主などの知識不足もあり、SWBの利用ができなかったが、貿易業者や船会社により普及活動が継続されたことにより、その利用が促進されたケースも少なくない(タイ、フィリピンなどで)。

しかしながら、貿易取引における決済条件の要をなすL/C取引において、船荷証券の代わりに自由に、また、トラブルを最小限にして使用するには、SWBがAWBと同じように利用できるように法的環境を整備する必要がある。銀行がいちいちCMI規則の引用の有無をチェックすることなく、事務処理を進めることができるようにすることなどである。

SWBを巡る問題の改善を図るためには、CMI規則の改正の必要もあるが、それと同時に同規則の条約化を進めるべきであり、SWBに関する国際ルールを「ワルソー条約」や「ヘーグ・ヴィスビー・ルール」などのように、国際的に広く普及させていくことが望まれる。

 

 

 

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