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第1章 序論

 

?.流通性書類に関する調査・研究

 

1.法的諸問題に関する調査・研究の必要性

(1)電子商取引への取組み

企業間ネットワークの進展やインテーネットの急激な利用拡大に伴い、関係方面において、電子データ交換《EDI:Electronic Data Interchange》による電子商取引への取組みが進められている。また、インターネット上にバーチャルモール(仮想商店街)を設けて、種々の商品の販売をするということも行われている。

インターネット上のショッピングでは、パソコンを電話回線経由でサーバーに接続し、商品リストを参照しながら注文をし、併せて所要の決済手続をとるということで一応終わることになるが、経常的に行われている国際商取引に係る諸手続を電子データ交換による方式に切り換えようとする動きが強くなってきている。

国際商取引は、商品の販売活動から始まり、契約の締結を経てその履行によって終わることになるが、これらの一連の業務フローのうち、船荷証券の発行、流通等に係る諸手続を、従来の書類中心の処理方式《所定の取引書類を当事者間において、郵便等でやりとりするもの》から、電子データ交換方式に切り換えることを検討し、貿易手続に係る事務処理の合理化・簡易化を図ろうとする取組みである。

つまり、ペーパーレス化を推し進め、ひいては事務処理の合理化、コストの低減を図ろうとするものである。

 

(2)電子商取引の問題点

書類手続の電子化によりペーパーレスが実現できることになるとはいっても、電子商取引においては、現行の書類やりとりをベースとして構築されている法律の規定がそのままでは適用できなくなるという問題が生じることになる。

例えば、船荷証券についてみると、書面に法定の事項を記載したうえでこれに署名をしなければ、有効な船荷証券とは認められないが、船荷証券の記載事項が電子データで相手方に送信された場合、そのようなものが法的にも有効なものと認められるものかどうか、また、電子メッセージに付された電子署名は、法令の規定による「署名」(記名捺印)と認められることになるのかというようなことが、先ず、問題となる。

 

 

 

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