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活動計画の一部が継続して進められることになった。

しかし、1997年9月開催の国連ECE/CEFACT第2回会期において、法律問題ラポーターは最近の電子商取引の発達並びにインターネットの普及とEDIプロセスとのインターフェース問題などを考慮して作業計画を修正し、現在進行中の項目について優先順位の見直しを行って、これに基づいて新しい法律問題作業グループ(国連ECE/CEFACT/LWG)の改訂作業計画に包含される項目や除外する項目を提案した。

除外した項目について、法律問題ラポーターは、専門家やリソースの不足であるとか、既に、他の機関や貿易関連業界において流通性書類への取組みが実施されていること等を理由として挙げていた。もちろん、これは流通性書類問題の重要性を少しも否定したものではなく、反対に各国代表からはその重要性を強調する発言が行われた。むしろ、EDIによって貿易制度手続の簡易化を推進し、国際電子商取引を実現する上で、流通性書類のEDI化に関する法的・技術的問題の解明が目下の急務であることは明白な事実である。

 

5.今日の貿易取引の諸手続における書類の役割が極めて重要であることは、ここに改めて述べるまでもない。これらの書類の中には、手続や事務処理に必要なデータを記載するものもあるが、一部の書類は、単にデータを記載するだけでなく、物品や金銭に関する権利を表彰し、このような権利の譲渡・行使に使用されている。

上記のように、ヨーロッパでは既にMANDATEプロジェクトによって、流通性に関する法律制度及び流通性書類の機能を電子的に置換する法的・技術的解決策の調査・研究が実施され、また、BOLEROプロジェクトでは、電子式船荷証券の商業的実施可能性に関する実験が行われた。わが国においても、これまでの調査・研究の成果に基づいて、EDIによる船荷証券の譲渡手続の技術的可能性に関する実験準備が一部の貿易関連企業によって進められており、今秋にも、これが実施される予定である。

将来の国際電子商取引においては、現行の貿易取引メカニズムがそのままの形で引き継がれることはないと思われるが、物品引渡及び代金支払いに関連して、何らかの形で電子式流通性書類が必要になるものと考えられる。今日、EDIを巡る世界の諸情勢は国際電子商取引の実施に向かって急速に展開しており、わが国としても、国連ECE/CEFACTを中心にグローバルな形で進められようとしている流通性書類問題への検討・取組みに積極的に参画し、電子商取引時代への円滑な移行に必要な法的制度や新しい貿易取引環境の整備等を講じることが緊急の課題であると考える。

 

6.終わりに臨み、日常業務に忙殺されているにもかかわらず、EDI制度手続簡易化特別委員会の委員・オブザーバー及び事務局の関係各位の献身的協力のお陰で、年次報告書を纏めることができたことを特記し、ここに改めて心から感謝申し上げる次第である。

 

平成10年3月

 

(財)日本貿易関係手続簡易化協会

EDI制度手続簡易化特別委員会

委員長 朝 岡 良 平

 

 

 

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