うな既成概念は捨てたほうがいいでしょう。
それなりの勉強と情報収集、商品内容の吟味と自分のニ一ズにあった商品選びがあって、始めてメリットになるのだということも肝に銘じておいて下さい。(図6.7、表9)貯蓄広報中央委員会の平成9年版「貯蓄と消費に関する世論調査」によると、ここ数年の間、貯蓄方法の選択基準として「安全性」を重視する人が増え、「収益性」を重視する人が減っているという傾向がより顕著になってきています。約半数の人が安全性を最重視し、収益性を最重視する人は初めて2割を割った昨年をさらに下回り、15%程度になっています。これまで、日本の一般常識では考えられなかった銀行の経営破綻をはじめ、証券会社や生命保険会社の経営破綻が現実に起きてしまったことがその背景にあることは言うまでもありません。
絶対安全だと思っていた銀行預金や保険契約までもが、経営破綻によって脅かされることを目の当たりにしたことで、その不安はいまやピークにあると言えるでしょう。しかし、日本版ビッグバンという大改革は、国内外入り乱れての金融機関の自由競争を促し、私たちが享受できるメリットは正にその競争によって生み出されるのです。競争である以上、そこには必ず敗者が存在します。事実、金融先進国のアメリカ等では金融機関の経営破綻は日常茶飯事と言われています。日本版ビッグバンによって登場するであろう様々な金融商品やサービスによってもたらされる恩恵を受けるためには、私たちが常に自分の責任において貯蓄や投資を行うという大前提があることを忘れてはいけません。もし、自分がお金を預けた銀行が倒産してしまっても、それは自分の判断ミスだったと考えられるぐらいの自己責任意識が必要になる時代が来ているのです。
また、「絶対に値上がりすると言われて買ったのに…」「損させられた」「だまされた」。これらは、バブル崩壊とともに急増した声の数々です。ほとんどが、それまで経験の無かった人達が、その値上がりによって大きな利益が期待できる金融商品への投資(中には悪徳商法に引っ掛かってしまって、本当にだまされたケースもあるでしょうが)に失敗したことによって発せられた言葉です。しかし、現実問題として相場に「絶対」はありません。それが株式だろうが投資信託だろうがです。にもかかわらず「絶対に値上がりする」と言ったほうも悪いし、それを信じてしまったほうも悪いと言えるのです。日本版ビッグバンの進展によって、今後、こうした値動きのある金融商品の数は飛躍的に増えることが予想されます。さらには銀行に預金することもある意味で投資になるのです。
そんな時代になって、「預金保険制度」や「貯金保険制度」のみならず、生損保契約を対象とする「保険契約者保護基金」、証券会社を対象とする「寄託証券補償基金」による保護制度も整備されつつあります。しかし、だから安心というのではなく、あくまで「自己責任の意識」が大切な時代になるのだということを、私達ひとりひとりが認識していかなければなりません。
では、自分たちの財産を危険にさらさないためにはどうしたらいいのか。敢えてひとつだけ挙げるならば、勧められるままに金融商品を買わないことです。前述のように、今後は銀行でも投資信託等元本保証の無い商品を販売します。その商品がどういう性格の商品なのか、安全性は、中途解約等の条件は(中には中途解約できない商品もあります)、等じっくり吟味することだけは習慣付けて下さい。もちろん、これからの生活設計に影響しない余裕資金であれば、敢えてリスクをおかして大きな収益を狙ってもいいでしょう。勧められるままに買って、結果として損失が出ても、それはあなたの責任なのです。(図8)