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その結果、三世代世帯を中心とする「その他の親族世帯」の割合は現象を続け、昭和50年('75)の22.8%から平成7年('95)の18.0%へと50%近く減少した反面、核家族世帯は約60%とほぼ変化がありませんが、単独世帯の割合では約18%から22%へと5%近く増加しています。

このような単独世帯の増加等によって1世帯当たりの世帯人数も減少し続け、昭和50年('75)には3.35人であった平均世帯人員が平成2年('90)には3.05人となり、さらに、平成7年('95)の国民生活基礎調査によると、1世帯当たりの平均世帯人員は2.91人で3人を切るに至り、家族規模が一層縮小化していることが明らかになっています。

これは、若年層の一人世帯、中年層の二人世帯が増えているためですが、その背景には、近年の出生率低下による少子化傾向に加え、第二次ベビーブーム世代が進学、就職や結婚などで新たな所帯を形成する親離れ年齢を迎えていることも影響しているとみられます。

さらに、核家族世帯の中でも夫婦のみの世帯が増えており、特に65歳以上の夫婦のみの世帯が著しい上昇傾向を示しています。

長寿化により結婚期問が長期化し、少子化と核家族化により高齢夫婦のみの世帯が増えているのが現代の家族構成の特徴といえますが、結婚期間の推移をみてみると、実際に結婚期間が50年以上となっている夫婦は昭和30年('55)の20.2%から、昭和60年('85)年の30.3%へと大幅に延びています。

また、親子期間が長期化するなかで、65歳以上の高齢者と子の同居率がどのように変化してきたかをみると、昭和50年('75)には68%であった同居率が平成6年('94)には55.3%にまで低下してきています。

このように、高齢化と出生率の低下や少子化により、わが国の家族形成と家族構成にも大きな変容が生じてきており、人間社会の基本的な構成単位である家族は、さまざまな要因がお互いに影響し合いながら変容してきています。

 

人口と世帯の変容がもたらすもの

 

欧米のように移民や労働力の移動による人口移動がないわが国では、少子化、高齢化に加え、家族形成の多様化という傾向が今後も続き、かつて経験したことのない人口変動に直面しています。

長寿化と出生率の低下により人ロピラミッドも、ピラミッドというよりはつり鐘型またはひようたん型となってきており、第1次ベビーブームの団塊の世代と第二次ベビーブームの団塊二世の2階級で膨らんでいます。平成32年(2020)には団塊の世代が70〜74歳となり、団塊二世の世代も45〜49歳という超高齢化社会となり、平成37年(2025)には65歳以上人口が全人口の4分の1を占めると推計されています。

このように、人口および世帯の高齢化が進むと、年金や健康保険などの社会保障負担も大きくなり、家族形成の変容により家族の扶養機能も低下していきます。

わが国の社会保障制度は工場労働者を対象とする健康保険制度に始まり、農業者や自営業者を対象とする国民年金制度、被用者のための厚生年金保険制度が整備され、昭和36年('61)には国民皆保険・皆年金体制が実現しました。

社会保障制度が経済成長の成果を享受するなかで、高度経済成長期における社会保障制度の整備、拡充とともに社会保障給付費総額も伸び、平成6年('94)現在では国民所得372兆9,436億円に対し、社会保障給付費総額は60兆4.618億円となっており、国民所得の16.2%が社会保障制度を通じて国民に分配されていることになります。

 

 

 

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