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つく手縄(てなわ)と呼ばれる縄を、帆のふくらみは帆の両脇につけた両方綱(りょうほうづな)と呼ばれる綱を操作して行いました。

〔弁才船の帆走性能〕

弁才船は順風でしか走れないとよくいわれてきましたが、そんなことはありません。横風帆走を意味する「開(ひら)き走り」や逆風帆走を指す「間切(まぎ)り走り」といった語は、すでに17世紀初頭「日葡辞書」に収録されています。弁才船の逆風帆走性能は、ジャンク(中国船)やスクーナ―型などの縦帆船(じゅうはんせん)に比れば劣りますが、バーク型などの横帆船(おうはんせん)より優れていました。弁才船の耐航性と航海技術の向上した江戸時代中期ともなると、帆の扱いやすさとあいまって風が変わってもすぐに港で風待ちすることなく、可能な限り逆風帆走を行って切り抜けるのが常で、足掛け4日も間切り走りを続けた例もありました。

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