○イープスリー 私も、ウォーリー氏がおっしゃったことを更に強調するとともに、自分なりのコメントを2つつけ加えたいと思います。
第1に、グローバライゼーションが小国経済に対してもたらしてきた影響は、貿易障壁を下げてきたことによって競争が激しくなってくるということです。競争の激化は大きな利益となってきます、選択肢が広まり、物価が低下しただけでなく、国内経済においても、ダイナミックな反応が生まれてきています。これは国内的に大きな機会を作りだしました。
第2に、ウォーリー氏が指摘されたことも極めて重要かと思いますが、もう1つの側面を指摘させていただきますと、従来のグローバルなネットワークは、国民国家から国民国家へといった問題に焦点を当ててきました。従来は、いわゆる「不公正な競争」をなくしていくことに大きな関心がありまして、次に競争そのものをアンチャトラスト制度などにより高めていくということを重要視するようになりました。過去20年間作られてきたルールは、ダンピングなどの形にまとめられてきています。これは、競争そのものが重要であるという観点からであります。
もう1つ、ここで指摘したいことでありますけれども、こうした問題はAPECで取上げられており、アジアは他の国をこの面でもリードしています。
○司会 御発言、どうもありがとうございました。予定しました時間を既に過ぎましたので、以上で今日の会合を閉会にしたいと思います。
冒頭申し上げましたように、グローバライゼーションという、我々も日常使いなれた言葉ではありますけれども、もう少し深く堀り下げてみますと、そこに光と影もありますし、影の部分にどのように取り組んでいくのかという問題も生じてまいります。今日議論された中でも、例えば市場経済ということが強調される中で、市場は逆襲するものだという言葉も出てまいりました。また、そういう状況の中で、国際的な通貨不安に基づく経済的な混乱、困難、それに関連して国際的な組織の役割ということも取上げられましたけれども、インターナショナル・マネタリー・フェイリアではなくて、できれば、インターナショナル・マネタリー・フロンティアとして、こういう問題にぜひ取り組んでいっていただければと思います。
いずれにいたしましても、火曜日に始まりましたコンファレンス、今日の会合を通じて、世界中が大きなグローバライゼーションの中で問題を抱えている、そして、その中で、それぞれの国がソーシャル・コヒージョンをどのように維持していくか、また、国際的なマージナリゼーションという形で、外に置かれている国々、地域、あるいは民族というものをどのように明るい方向へ導いていくかということが課題となり、結局、これまで言われたように、政治がリーダーシップを発揮して難しい問題に取り組んで欲しいというのがいわば結論であったと思います。
会合を終わるに当たりまして、お忙しい中をご参加いただきました皆様にお 礼を申し上げると同時に、特に、きょうパネルメンバーとして、我々の議論を 非常に活発に、そして幅広く、奥深く議論していただきました方々に心からお 礼を申し上げまして、きょうの会合を終わりたいと思います。どうもありがと うございました(拍手)。
以上