であります。第2に、政府が、信頼性のある適時、適切なデータを作成することは不可能であると思います。なぜならば、政府はその主権の点から、妥協するかもしれないからです。独立性を保っていくためには、あまりデータを公表してしまうと、将来の展望が明らかになってしまうということで、難しいのではないかと思います。
竹内:もし、あなたのいうとおりとすれば、統計学者は皆失業してしまうと思います。統計専門家としての立場からいいますと、いまのご意見には全く賛成できません。これは冗談なのですけれども。
全く正確な、必要となるデータを入手することが100%可能だとはいえないと思うのですが、そうは言いつつも、統計的なデータは何らかの情報を伝えてくれると思います。そして、データから何らかの有用な情報を引き出すことができると考えるわけです。我々はデータを改善する努力をすることが重要なのではないでしょうか。完全なものに到達することはできないにしても、ある程度までは、国際的に比較可能で、それぞれの国の人間の状況もある程度わかるような客観的なデータを入手することはできると思います。
議長:竹内先生のお答えは、学者を代表してのお答えだと思いますので、アフリカさんに、行政側の方の立場からお答えいただきたいと思います。
アフリカ:それは、不可能というよりは、難しいと思います。
我々は、すべての情報を同時に必要とするわけではありませんので、優先順位を与え、調整をするプロセスが必要となると思います。意思決定者にとってさえも、100%のデータがなくても意思決定できることは確かです。彼らが必要としているのは、将来への投影ができる傾向やパターンであります。実際に、将来のことは誰にもわからないわけでありまして、例えば7月の最初の週が、経済史において世界的に影響を与えるような意味がある、とか予測することはできません。作成者とユーザーの両者の仕事は、お互いのニーズを継続的に伝え合うということであります。それ故、限られた資源でデータを作成する場合には、単に情報を提供するということではなくて、意思決定に対して何らかの影響力を持つデータを作成する、ということであります。何億ドルかが、ある国に、ある時点で投入されても、1時間後には、その資金はまた引き上げられてしまうかもしれない。グローバルな経済のなかでは、このようなことが起こるのを避けることができない時代に入っているということを、昼食の時間に我々は話し合っておりました。
ですから、データは、もっと沢山必要であります。しかし、問題に対して、我々皆がともにアプローチすれば、知識を持って意思決定を行う基礎として使えるような、ある程度のデータを収集することはできるだろうと思います。
ビジョイ:アフリカさんが言われたことに、いくつか追加して申し上げたいと思います。私も、政府で何年間か仕事をしてまいりまして、統計をドナーなどのために作成してきましたが、アフリカさんが言われたように、政府は、データについて100%の精度を達成することはできません。なぜならば、データは絶えず改訂される。例えば、国民経済計算においては、最初、迅速な推計値が当