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している国の居住者とみなされるべきなのか、非居住者とされるべきなのか、という問題であります。これは、税制上あるいは為替管理上の理由で、これらの金融機関(単位)が非居住者と定義されているところでは難しい問題であります。その結果として、これらのオフショアセンターが世界のいかなる経済の中にも取り込まれないことになるかもしれないのであります。

特に為替管理が除去される中で、オフショアセンターが、その活動しているところの経済の一部として取り扱われるべきだという認識が強まっております。彼らの生み出す所得がその国のGNPの中に入れられるべきだということのみならず、国際収支の資本勘定を作成する際に彼らが居住者として取り扱われるべきだということになります。

IMFは長い間、「IMF国際収支年報」で公表するために加盟国から報告される世界の国際収支に、大きな不一致があることに懸念を持ってきました。この問題に対処するため、 IMFは、方法論上および作成上の問題について助言するための「国際収支統計委員会」を1992年に設立しました。委員会は、アジアの二つの国、日本とシンガポールを含む加盟国の上級の統計専門家で構成されております。

IMF国際収支統計委員会の大きな仕事の一つとしては、1997年の調整ずみのポートフォリオ投資調査があります。この調査は、次の二つの主要目標を持つもので、即ち、国境を越えた証券保有についての統計を改善し、また、ポートフォリオ投資金融フローと関連の投資所得データの範囲について調査を行うこと、また、海外ポートフォリオ投資債務と関連する金融フローと投資所得のデータについての各国の評価を改善するため、参加国間での比較可能なデータを交換すること、であります。この調査には37ケ国が参加し、そして5か国はアジアから、インドネシア、日本、マレーシア、シンガポール、タイが参加しております。

調整ずみのポートフォリオ投資調査は、非常に野心的な仕事でありまして、これに成功すれば、投資のフローとストックに関する統計の改善を大きく進めるものとなるでしょう。これほど野心的ではなくても、極めて難しいものとしまして、「APEC貿易・投資データに関するワーキンググループ」によるAPEC諸国に関して概ね比較可能な「貿易・投資データベース」(TIDDB:Database on Trade and Investment)の開発がありました。このTIDDBは、1990年に始められまして、いまや加盟国がアクセスできるものとなっております。このデータは、公刊された貿易データよりも比較可能性があるとみられ、将来の貿易交渉と貿易データの2国間での調整をやりやすくするでしょう。

IMFのような国際機関とAPECなどの地域フォーラムによるこのような努力は、比較可能な経済・金融統計、特に貿易と投資に関する統計の開発に貢献するでしょう。これらは、SDDSやGDDSのような公表基準や、また、SNA3やBPM5といった国際統計フレームワークの改訂を補完するものです。

シンガポールの展望でありますけれども、シンガポールは、アジアにおける主要な金融センター

 

 

 

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