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終わるまでに確実に遵守できるようにする調整を行うためには、特に、統計発達の比較的低いレベルの国々にとって、相当の資源と努力の投入が必要となります。しかし、このような努力を加盟国政府に要求することによって、SDDSは、よい統計システムを各国に構築するという長期的な利益につながることにもなるでしょうし、ひいては、持続的な発展を支えるための、適時で意義のある経済・金融統計の必要性に効果的に応えることを可能ならしめることになります。

確かに、すべての国がSDDSに記載されている「ベスト・プラクティス」を遵守できると期待することは現実的でないかもしれませんが、相当程度よい基礎的な統計を提供できるような統計システムを開発して「グッド・プラクティス」(good practice)を採用することは、すべての国々にとって必要であります。 IMFは、現在、SDDS加盟国でない国を対象とした「一般データ公表基準」(GDDS:General Data Dissemination Standards)の開発を行っております。GDDSは、統計システムがまだ相対的に低い発展レベルにあるアジア諸国において、統計の開発を促進するのに役立つでありましょう。

SDDS及びGDDSでは、公表基準を示しておりますが、それ自身高い品質で比較可能な経済・金融統計を確保するのに十分ではありません。これは、国際的な統計フレームワークの採用によって達成できるものであります。経済・金融統計の主要なフレームワークとしては、例えば国連の「1993年国民経済計算システム」(S N A93)、あるいは国際通貨基金(IMF)のいろいろなマニュアル、特にIMFの「国際収支マニュアル第5版」(BPM5)があります。これらのフレームワークの改正は、統計基準と概念を調和するため、主要な国際機関(国連、 IMF、世界銀行、OECDおよびユーロスタット)が共同して行った努力の一部となっております。この改正が完了することによりまして、経済・金融統計の作成に関する国際的なフレームワークの範囲が大きく拡大されてきたわけであります。これらのフレームワークの拡大は、経済活動と取引がますますグローバル化していること、また、経済的および技術的な発展が加速していることに照らして、まさに時宜を得たものであります。

このような主要なフレームワークに加えまして、まだ作業の完了していない「中央生産物分類」のようないくつかの統計分類が改訂されたか、現在改訂されつつあります。ハンドブックやマニュアル(例えば、貿易統計、金融統計に関するもの)なども現在策定中または改訂中でありまして、これらのフレームワークの実施について各国の統計専門家をガイドするものであります。

このような新しい基準やフレームワークはタイムリーなものでありますが、それを実施するためには各国統計部局、特に発展途上国の統計部局に極めて多くの課題と負担が課されております。このため、従来の方法論やデータ・ソースを見直す必要があるだけでなく、新しいデータ・ソースや方法論を開発することも必要となります。また、このため、ますます限られてきている資源と国際機関および統計的により先進的な国からの技術支援の投入が必要となるでしょう。

シンガポールは、他のアジア諸国と同様に、改訂されたフレームワークと基準を実施するについ

 

 

 

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