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第二章 考察と今後の課題

 

1. 考察

地域環境学習クラブの結成に始まり、環境ボランティア活動までという、約半年間に及ぶ事業展開の中で、主催者として、又、実行委員として、走っては立ち止まり、又走り出し、という試行錯誤の連続であった。

この中で最も重視したのは、地域ごとの独自性と子ども達の地域の人達の自主性ということである。ともすれば、このような事業は、主催者だけが企画し、お膳立てし、行動する。しかも結論、結果は当初から折り込み済み、というものが多い。我々も、補助事業ということもあって、事業計画は充分練ったつもりである。しかしそれが余りに決められすぎると、子どもを含む参加者の自主性が損なわれ、単に踊らされているだけになってしまう。

そこで主催者は実行委員会に極力まかせ、実行委員会は参加者に極力まかせて、我々はレールから外れそうになった時に軌道修正するという形をとった。

前年度の3都市開催から、全国10都市の開催に拡大したため、開催地ごとに、内容や日程にバラツキが生じ、とまどいも多かったが、我々としては十分成果が上がったと考えている。

特に初の開催と遠隔地故心配していた福岡と沖縄が大成功を収めたことは、特筆に値すると思い、実行委員及び協力者の方々に感謝している。

以下、開催地ごとに考察を加えてみる。

 

? 奈良

本事業発祥の地であることから、まっ先に「地域環境学習クラブ」が結成され、翌日には「車イスウォッチング」の実施という手際の良さだった。前年度の自然環境調査から、今年度は子どもを取りまく生活環境調査へと範囲を拡げたため、早速子ども達が車イスに乗って、障害者の視点での生活環境調査を実施した。車イス初体験の子もおり、自分達の住む町を再発見し、特に放置自転車が車イスの通行の妨げになっていることに気付くなど子どもにとって素晴らしい体験となった。

奈良をお手本に、他都市でも車イスウォッチングが行われ、障害者への思いやりの気持ちが生まれ、学校や塾の教師、保護者、行政や社会福祉協議会の協力等の地域ネットワークが形成された。

9月には「リバーウォッチング」「酸性雨調査」「史跡ウォッチング」が行われた。奈良は史跡が多いが、子ども達は身近な地域の歴史に、余り接していない。そこで「大化の改新」をテーマに、飛鳥の自然と親しみながら5時間の史跡ウォークとなった。

沖縄実行委員の3名が飛び入り参加し、奈良ならではの、素晴らしい体験学習調査となった。

この後山田・奈良支部長・実行委員は、他の開催地の指導に飛び回り、奈良の「地域環境学習クラブ交流フェスティバル」は、年末の12月20日と、最も遅くなってしまった。

しかし奈良での活動は、子どもが身近な環境に興味を持ち、自分達に何ができるのか、そのためには地域の大人達の指導や協力が必要なことを十分感じとった事業となった。今年度で奈良の開催は終了するが、出来上がったネットワークと行政側の支援で来年以降も同様の催しを行うこ

 

 

 

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