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だからたいへん難しかった。そうでなければ、彼女はただ彼女のままでいればよい。彼女はとてもパニックしました。私が彼女に自然でいて欲しければ良かったのですが。彼女は演技過剰な俳優ではなく、どんな瞬間にも自然でいられる女優です。しかし私にとってそれは充分ではなかった。ですから、1日目、2日目、3日目、と「あなたは良くない」と言い続けたのです。彼女は自分以外の者になる用意ができていなかったので、たいへんだったでしょう。会う男は毎日変わり、時に彼女は1日に4人も会わねばならず、実生活でもそれは疲れます。例えばあなたが、半日で4人の監督をインタビューしなければならないとしたら、疲労するでしょう。彼女は知らない人々に会い、異なったストレスを感じなければなりませんでした。

―――撮影が終了して、今あなたは彼女に満足していますか。

陳:30〜40%のプロセスでは、彼女は私をたいへん満足させてくれました。たまには期待以上だったので驚かせてくれたこともありました。ただし、全体の30〜40%です。その他の20〜30%では力量を認めます。ただし、演技とは力量、能力の問題ではないのです。演技とは驚きなのです。私にとっては。彼女は、インスピレーションが湧かずにただ疲れていたり、プレッシャーを受けすぎていたり、心ここにあらずという状態

 

 

 

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