アの中に置くべきだと思います。いつも若い人に言っているのですが、映画を撮りたいとか、映像の仕事をしたいとか、夢ばかり見ていてはだめだ、映像の仕事が好きなのは分かるが、映像の仕事は色々あるんだから、テレビで仕事をするのもいいし、広告に進んでもいい、悪いことは何もないんです。ただ台湾にいて台湾映画を引き上げようとするのは極めて難しいと思います。
台湾映画によって、その映画が何であれ、映画館を維持できさえすればいいと思います。その理由は台湾映画には弱点があるからです。2千万人の人口しかない台湾に映画観客数は一体どれだけいるのか、さらに台湾映画が国際市場に出る力量があるのかというと、私はとても難しいと思います。日本でさえ同様です。なぜなら映画は基本的には欧米の産物だからです。こう考えると逆に台湾映画界は、多くの人的、物的資源をあるひとにぎりのあるいは2、3人の人に与えて1年に映画を2、3本製作させ、海外に我々の芸術生命を伝えるようにすることはできると思います。そしてその他のエネルギーは他のメディアに使います。
映画で台湾を理解してもらおうとするのは難しいが、テレビにはそれが可能と思います。映画で台湾を理解してもらうという責務は、実のところ多くの人が若いときにやりました。しかも台湾映画の名に恥じない成果を上げました。例えば侯孝賢と楊徳昌は顕著です。そこで私は台湾のこの数年の成果を「先賢先徳」という四文字で形容しています(原注:一般の人より賢く徳を持っている意味に侯孝賢の“賢”と楊徳昌の“徳”をかけている)。楊徳昌と侯孝賢が台湾の映画を国際的なレベルまで引き上げたのです。私はこの点を高く評価したいと思います。今は状況が違います。こう思うのは私が年をとったからだと言われるかもしれませんが、本当に難しいのです。