物語
太平洋戦争期の台湾。旧家の林家の長男・聚光は、教師として尊敬され、妻の文英との間に子供も生まれ、父親からも信頼されていた。しかし、次男の・聚勇は電気工学を学んだものの職もなく遊び暮らし、父親の叱責を買い、恋人の小恵にもあいそをつかされていた。そんなとき、日本軍から発電所建設のため先祖代々の墓所を移転せよとの命令が下る。聚勇がその発電所の技師に雇われたことがさらに父の怒りを呼ぶ。聚光の同級生だった池田大尉の説得もむなしく、父親は身を呈して墓所を守ろうとし、日本軍に斬殺される。聚光は抗日戦争に参加するため、妻子を残し、大陸へ向かい国民党軍に参加する。文英は、夫の代わりに教壇に立ち、生徒たちに中国人としての誇りを説いていたが、何くれと気にかけてくれる池田大尉との関係を疑われて、いわれないそしりを受け、ついにダムに身を投げる。一方、聚勇は、日本人の下で働き、同胞からさげすまされながら、日本軍への反撃の機会をうかがっていた。
(加藤)