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しかしながら、電子政府の仕組みが、いかに市民の利便性を向上させたとしても、行政サービスの正確性や厳密性を損なうようなことがあってはならないため、特に、行政サービスを請求した者が当該サービスを受益できる資格のある本人であることを確認するための手段を確立しておく必要がある。

電子政府の実現に向けて、各国が注目しているのは、やはり、統一個人コードの活用した行政サービスの提供である。行政サービスのワンストップ化やマルチ・アクセス化を担当する窓口機関は、本来の行政サービス機関のサービス行為を代行できなければならない。また、行政サービスのノンストップ化は、無人運用が原則になることから、情報技術を活用した自動的な本人確認のシステムが必要になる。現在、各国の行政サービス分野において幅広く利用されている統一個人コードが、電子政府の仕組みの中で、本人確認手段の重要な要素として注目が高まっているのは当然と言える。

 

(3) 行政サービスのリエンジニアリングを促進するインフラ

統一個人コードの利用は、行政サービスの利便性向上の側面において有効となるばかりではなく、行政サービスのリエンジニアリングの側面においても重要な役割を演じることになる。

電子政府の実現に取組んでいる各国では、複数の行政サービス機関や部門による統一個人コードの利用を徹底し、以下に示されるような効果の創出を目指す行政改革に取組んでいるところである。

 

複数の行政サービス機関で重複して行っていた一般的な窓口業務の統合及び業務プロセスの見直しによる、行政サービス事務の効率化

・ 正確なデータに基づく迅速な事務処理による、申請から給付までの時間短縮等による、行政サービスの品質向上

・ 行政サービス担当者から膨大なペーパーワークを開放し、市民ひとり一人を対象とした、きめこまかなサービス(ケースマネジメント等)に振り向ける時間を増加させることによる、行政サービス担当者のモラル向上

 

 

 

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