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群とE群の間で大きな差がみられたのは、当然のことかもしれないが、精神障害者との接触経験であった。D群については、既に精神障害者に対するイメージは好ましいものを持っていることを考えれば、ともかく接触機会を増やすことが重要であると考えられる。DE群が精神障害者に対する理解がすすんでいると言っても、問13のようなメッセージ(刑事事件の比率など)を「聞いたことがない」と答えた人は相当数おり、こうしたメッセージを積極的に伝えていくことも重要であろう。

 

9) キャンペーンの受け入れについて

 

用語から受けるイメージについては、重く深刻な印象を与え介護負担が大きいのは、精神病であり、身近な人に使いやすい用語は、こころの病という結果であった。精神障害はそれほど重く深刻な印象を受けないが、身近な人に使いやすいかというとそうでもないようである。また精神疾患は、いずれの印象も受けにくく、馴染みが薄いようである。

「きちんとケアを受けている精神障害者は、特に他人に危害を加えることはない」「精神障害者が刑事事件をおこす比率は、一般の人が事件をおこす比率より少ない」「精神分裂病になる人は100人に1人くらいで病気がよくなれば普通の社会生活をおくることができる」等の情報について、聞いたことがあると答えた人は、約1、2割と少数である。

またその情報が信じることができると答えた人は、それぞれ約2割から3割弱とこちらも少数であった。ただそうかもしれないと思う人はいずれも5割以上となっている。情報をただ流すだけでは、届きにくいが、流し方によっては信じることができる人が増えるかもしれない。

 

10) 制度・施策に対する意識

 

精神障害者に対する社会的援助のあり方についての調査結果から言えることは、次のようなことである。社会的援助については多くの人が重要であると考えている。社会的援助が現在どの程度行われているかについては、多くの人があまり行われていないと感じている。精神障害者に対する肯定的イメージとそうした精神障害者を身近に受け入れ、接することが、社会復帰促進についての積極的態度に関連する。精神障害者についての消極的、否定的イメージは、社会防衛的態度に関連する。精神障害者を排除したり距離を持つことは、情報を報道やマスコミに期待する態度に関連する。実際の福祉サービスの提供については、高齢者へのサービスと同列に考えることには抵抗感が強く、理解も不十分である。実際のことになると排除的な態度が強く見られる。

以上のことから、精神障害者に対する社会的援助が十分に行われるべきであることは勿論、その必要性と実際の援助が、広く国民に理解され、受け入れられ、自由に提供されるためには、精神障害者への正しい理解についての情報や教育が大切であるとともに、精神障害者が当たり前に地域社会のなかで生活し、その生活と支援の実際が常に市民の目に触れ、市民に接していることが、精神障害者との心理的距離を縮め、排除的態度を変えていくことに大きな力を持つものと考える。

 

 

 

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