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その他(アルコール依存症、神経症・ノイローゼ、精神分裂病)は、1、2割程度と少なくなっている。特に分裂病を持つ人と関わりを持ったことがある人は、約1割と少なくなっている。全体の半数以上が、これらの病気(障害)を本やテレビ等で少しは知っていると答えている。

精神分裂病の原因として影響については、人間関係のつまづき、神経質な性格、競争社会のゆがみ、脳神経の障害などが影響が強いと思うと答えている人が多い。若い世代では、特に環境要因(例、人間関係のつまづきなど)の影響が強いと考える傾向があり、年輩の世代では、内因的な要因の影響が強いと考える傾向が伺えた。

全体の約4割の人が、精神に障害を持つ人と出会っていると答えている。なかでも職場・学校、病院、友人関係、通勤や外出の途中で出会ったと答えている人が多い。出会っていると答えた人の中で、精神に障害を持つ人や家族の相談にのったことがあると答えた人が約4割、お見舞いに行ったり、身の回りの世話をしたことがあると答えた人が約3割であった。

 

4) 精神障害についてのイメージの形成、およびその内容と変化の契機

 

精神障害についての最初の意識、すなわち、原イメージとでも呼べるようなものについては、約4分の1が原イメージを形成していないと回答している。また、原イメージの形成時期については、約4分の1が「思い出せない」と答えている。回答された形成時期としては、「小学生のとき」が最も多くなっているが、「小学校入学以前」が非常に低率であったことを除けば、大きな差は見られなかった。

原イメージが形成された具体的な状況としては、「特定できる誰か」の存在を通じてが半数近くを占めて最も多く、その中でも「近所の人」が4割近くと最も多くなっていた。ただし、これらの中には、知的障害者も数多く含まれていることが読み取れ、「何だか普通とは違う」といった素朴なイメージの中で、精神障害者と知的障害者が混在しているものと考えられる。続いて、「マスコミを通じて」と「精神病院の存在」が共に1割以上の回答を得ていたが、精神病院については、鉄格子に代表される奇異な外観が印象に残っており、また、マスコミではその半数が事件報道によることなどから、ともにマイナスの原イメージを作り出しているものと考えられる。

「本や映画」あるいは「授業」といったある程度の情報に基づいて原イメージの形成を行ったものはいずれも少数であり、そうしたイメージ形成の偏りが次のイメージ内容にも反映されているものと思われる。

原イメージの内容としては、「変わっている」「こわい」がいずれも3割以上の回答を占めて上位にランクされた。これらは、いずれも何らかの情報や理解に基づくものではなく、いわば直観的に形成された内容であり、こうした原イメージが形成される前に、知識の普及などが行われる必要性を感じさせる。

一旦形成された原イメージというものは、何らかの契機がない限り変化の必要を認めないものであり、約3分の2の人々が「変わっていない」との回答を寄せ、「変化した」との回答は1割強にとどまった。

ただし、変化したという人の中では、肯定的な方向に変化した人が8割以上を占め、「誰

 

 

 

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