日本財団 図書館


精神保健に関する情報入手希望経路に関しては、表示しないが、都市部と中小都市に差が認められない。また、「ストレスを受けたとき相談したいところ」については、大都市の「20〜39歳」で「専門のカウンセラー」が多い傾向が認められた。

次に、精神保健に関するメッセージの効果に関しては(表?-12)、低認知者改善指数については、大都市部の「20〜39歳」で各メッセージとも改善度が良好であった。

好きなキャッチフレーズについては(表?-13)、大都市部の「20〜39歳」において「ゆっくり生きよう」が多くなっている。年齢別の特徴はこれまでと同様であった。

隣りに転居してくる精神障害者受け入れの条件については(表?-14)、大都市部の「20〜39歳」において「状態が悪くなったとき専門的な援助」や「病状・状態を大家や近隣に説明」「作業所通所など社会復帰の努力をする」が多くなっている。また、大都市部「60〜74歳」では「きちんとした保証人がいる」が、中小都市「60〜74歳」では「作業所通所など社会復帰の努力をする」が多い傾向が認められる。以上のように、都市規模別にみて、受け入れ条件はそれぞれ異なっていることがわかる。

 

4) まとめ

 

対象者を、性別×年齢、年齢×学歴、年齢×居住地(市町村規模区分)に分けたセグメント別の分析の結果、特に年齢別に、精神保健ニードや情報入手経路、受け入れ可能なメッセージの種類、精神障害者受け入れの条件に大きな違いが観察され、年齢別に細やかなアプローチが必要であることが示唆された。

まず、若年層(「20〜39歳」)は、精神障害に関する情報を十分認知していない。しかし、伝えられたメッセージは受け入れ可能性が高いことがわかる。この傾向は、学歴が高く、大都市部の若年者により顕著であった。このことから、若年層に対しては積極的に情報を提供するとともに、認知の変更が行動の変更につながって行くよう援助していく必要があろう。

一方、「精神障害者が刑事事件をおこす比率は、一般の人が事件をおこす比率より少ない」というメッセージ?は、年齢層によらず比較的改善度が良好なメッセージであった。精神障害者の危険性を訴える世論を鎮静化させるためにもこのようなメッセージが積極的に多くの一般国民に伝えられる必要がある。

高齢者層には、「テレビやラジオ」といぅ媒体や、相談先としての「かかりつけの医師」が重要であることが明らかになった。高齢者は一般に消極度が高いことから、これらの媒体を用いて、彼らが必要とする精神保健の情報と合わせて(「退職後の生活」「高齢者の介護」など)、精神障害者に関する啓発を進めていく必要がある。同時に、彼らが嗜好するキャッチフレーズは、「人間らしく生きたい」と「共に生きる」「心に平和を」など、社会的弱者の側面を持つ高齢者への理解を求めるとも見られるものが多い。同じく社会的に弱い立場におかれている障害者たちに対しても共感できる方策を検討していく必要があるだろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION