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3. 居住地域特性との関係

 

居住地域特性との関係を示したのが表?-4である。

消極度は、人口30万人以上の市で低く、30万人未満の市で高い傾向が認められた。

一方、社会的距離は中部地方で高く、北海道・東北地方や中国・四国・九州地方で低い傾向がある。

 

4. 年齢階層別に見た各階層別の精神障害者観

 

以上見てきたように、精神障害者観を捉える各尺度は年齢との関係が強いために、年齢を統制した影響を観察するために、年齢階級別に消極度および社会的距離2と各属性項目との相関関係を見ることにした。

消極度は、年齢で統制すると多くの相関は弱くなるか、相関がなくなる。このなかで、年齢の影響を除いて消極度に関係しているのは、「学歴」と「職業」であった。学歴は、各年齢階層とも高学歴であるほど消極度が低くなっていた。一方、「職業」は、職業種別の消極度得点は、年齢階層ごとに異なっており、年齢と職業種別の交互効果が認められた。

一方、社会的距離2に関しては、年齢の効果とは独立して、学歴、市町村類型に差が認められた。市町村類型については、「60〜74歳」の年齢階層で「町村」ほど社会的距離が小さい傾向が認められるとともに、年齢との交互効果も認められた。

 

5. まとめ

 

消極度は多くの属性項目、すなわち、年齢、配偶者の有無、同居家族の構成、回答者の職業、現在の生活状況、最終学歴、現住所地への居住時期、地方選挙へ行く頻度、日頃読む新聞、居住地の市町村規模類型との相関が観察された。また、社会的距離尺度も、消極度ほどではないがいくつかの属性項目、すなわち、年齢、現在の生活状況、学歴、現住所地への居住時期、地方選挙へ行く頻度、居住地の市町村規模との関係を持つ。

これらの属性項目の中で年齢の影響は大きく、年齢で統制すると、多くの項目で有意差が観察されなくなった。その中で、学歴(消極度、社会的距離2)、職業(消極度)、市町村規模(社会的距離2の交互作用)は、年齢と独立して精神障害者観に影響していることが明らかになった。

 

 

 

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