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?章 精神障害者観に関連する要因の分析(1)

〜属性項目の分析〜

 

前章で作成した、消極度尺度と社会的距離尺度を用いて、精神障害者観に関連する要因を分析して、問題改善のための方向性を明らかにしたい。本章では、回答者の属性項目を分析して、精神障害者観との関係を明らかにする。特に、属性項目を独立させて分析するのは、第?章で検討するソーシャルマーケティングの分析に用いるセグメンテーションに役立てるためである。

 

1. 人口統計学的項目との関係

 

表?-1と表?-2には、人口統計学的変数別に各尺度の分布を示した。

表から明らかなように、年齢が消極度および社会的距離と有意の関連を持っている。すなわち、高齢になるほど消極度が高くなるとともに、社会的距離は必ずしも一貫した関係ではないが概ね高齢になるほど社会的距離が減少する傾向が認められた。消極度と社会的距離が年齢に関して逆に作用しているが、これは消極度と社会的距離が精神障害者の社会的受け入れに関して異なる側面を捉えていることを示唆しており、後に詳しく分析を加えることにする。

消極度は、その他いくつかの人口統計学的項目との関係が認められる。すなわち、配偶者が「いる」場合、同居家族の構成が「夫婦のみの世帯」や「3世代同居の世帯」の場合に高くなる傾向が認められた。また、回答者の職業が、「無職」「農林漁業」「商工・サービス業従事者」「経営・管理職」などの場合に高く、「学生」「教育職」「専門・技術職」「労務・技能職」で低い。さらに、現在の生活状態が「食べるのに精一杯」「やっと暮らしている」という生活の厳しい人たちと「一般と比べて恵まれた生活」の人たちに消極度が低い傾向がある。最終学歴については、学歴の高いほど消極度が低い。

一方、社会的距離は学歴と現在の生活状況という社会階層に関わる項目と関係が認められた。すなわち、消極度の場合と同様に、高学歴であるほど、また現在の生活状況が中位にある場合に社会的距離が小さくなっている。

 

2. 地域関係などとの関係

 

表?-3は、地域関係に関わる状況別に精神障害者観尺度の値を比較したものである。

消極度は、人口統計学的項目との関係と同様に多くの項目で関係が認められた。

すなわち、消極度は最近住所地に越してきた場合、地方選挙に行かない場合に低い値になっている。これに対して、社会的距離は、社会的距離2が概ね最近住所地に越して来た場合に、社会的距離1が選挙に「ほぼ毎回行く」と「まったく行かない」の両端で距離が小さくなっている。

 

 

 

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