3 災害記録等
(1)対象とするデータのデジタル化方法
災害記録等のデジタル化は過去の災害(被害)及び防災対策に関する実データを主体とし,刊行物,災害誌,新聞記事,映像(VTR,写真)等の蓄積データが大半を占める。この書類の素材は,テキスト,数値,画像データを一貫したフォーマット(形式)でデータベース化するのが有効と思われる。
テキストの取り込みはOCR技術(文字認識技術)を用いて,画像データはスキャナーを用いて,数値データはOCRなどを用いてテキスト化し,データベースに取り込む方法などを用いて,最終的には一つの災害記録データベースとして各データを一元管理する環境を整えることが望ましい。選択されるデータベースはマルチプラットフォームで接続できる物が望ましい。
災害記録等の編集は,災害記録データベースから素材を選択して,DTP環境を用いて制作する。その際ネットワーク環境が整えられていれば,作業内容をサーバー上で管理することができ,データの運用範囲や運用効率も向上する。
作成されたデータはPDFなどのプラットホームを選ばないフォーマットへ出力することにより誰でも環境に左右されずに自由に閲覧できるデータとして保存することが可能である。
情報の発信としては,標準化されたフォーマット(PDF)でデータが出力されている場合は,容易に各メディア(CD,インターネット,製本)に変換し,記憶できる。
(2)デジタル化資料の有効利用
データベース上のデータを公開する方法は,一般的には,災害記録を刊行物(印刷物)に編集し,配付する方法がある。
このように,データを広く一般に公表し,普及する作業は,単にデータを内部記録にとどめず,防災教育・啓発活動に有効利用できるようにする点に意義がある。
なお,インターネットなどを用いると,ウェブ上で整理されたデータを公開できる。これを閲覧する時は,例えば,まず整理された概要データを見せて,次第に個々の詳細データへと視点を移行させていくなどの工夫が容易に可能である(これらは,従来型の防災教育センターのバーチャル(仮想)センターの実現と見なしうる。)。