(2)樹木の有無による温度変化の相違
図-2と3、図-4と5が相対的な位置として、比較の対象となる。測点08、15の温度上昇は、15がやや急で速いにも拘わらず、樹木背後の測点07、03は、熱源から等距離にある遮蔽物のない測点04、00に比し、上昇の程度は緩く、常温を僅かに上回る程度を維持している。なお、測点15が6分過ぎに急上昇したのは、接炎引火による。
測点08、09に比し、火源から等距離にある樹木前面の測点11、15の上昇が20分頃まで下回っているのは、前者が点火棟と延焼棟の両側から受熱するに反し、後者では、主として前面の点火棟からの熱のみを受けるためと思われる。これは背後の樹木が延焼棟からの熱を通ることによる。
樹木背後の壁面に設置した測点02、03付近が炎上するのが、それぞれ16分と24分である。これは、樹木を越えて延焼したものではなく、40号棟の東側00点付近に延焼したものが順次西側に燃え広がったものである。00点の炎上l0分30秒から順次03点の炎上24分までを辿ると、40号棟の炎上速度が凡そ判明する。即ち、15m/(24-10.5)分→1.1m/分。長さ20mの40号棟に火が回るには約18分を要するという計算になる。これは40号と39号棟間の測点が18〜23分で温度上昇を示していることとよく一致する。
(3)樹木のある部分の温度変化
図-3では、樹木背後の測点07、03が炎上までほぼ同値を保っているのに比し、図-5では、壁面02が06より若干高い値を示している。これは、点火棟(41号)東側からの炎の輻