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パワーと規定し、シーパワーが国家に繁栄と富をもたらし、世界の歴史をコントロールすると論じた(5)。そして、このマハンのの理論が、アメリカやドイツ、そして日本に大海軍を建設させたのであった。

 

3 総合地政学の誕生と発展

(1)マッキーンダーの理論

イギリスの地理学者マッキンダーは1904年1月25日、王立地理学協会で行った「歴史の地理的展開軸(The Geographic Pivot of History)」という講演と、その後1919年に書いた『デモクラシーの理想と現実』で、海上権力を保有した国家の繁栄が永久的であるとの保証はない。逆に陸上権力を保有する大陸国家が発展し、単一支配のもとに海上権力と陸上権力を統合し、無敵の支配権を全世界に広げるであろうと、シーパワーとランドパワーとの関係で世界政治を捉え、マハンの海上権力説では陸地に関する要素が不充分であるとし、地球は大陸と海洋から成り立ち、その大陸の3分の2を占め人口の8分の7が住んでいるユラシア大陸を「世界島」と名付けた。

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そして、この世界島の中央部でシーパワーの力が及ばないユーラシア北部を「ハートランド(Heartland)」と名ずけ、さらにハートランドの外側に2組の三日月型地帯(Crescent)を設定し、ハートランドの外側にあり海上権力の及ぶ大陸周辺の地域、すなわち西ヨーロッパ、インド、中国などを内側三日月型地帯(Inner Marginal Crescent)と呼び、その外方に海を隔てて点在するイギリス、日本、東インド諸島、オーストラ

 

 

 

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