中国の石油に対する渇望
アジアのエネルギー安全保障問題の根底にあるのは中国(発展途上で、欲求不満、イデオロギーとしての共産主義がナショナリズムに譲歩した修正主義国家)そして新しいタイトルとしての石油輸入国である。10年前、人民共和国は、その生産の1/4近くを輸出していた。しかし、2桁の経済成長率と消費者経済への転換に引っぱられて、1990年代初期から中国のエネルギーの貿易収支は急速に悪化している。
1993年11月には1/4世紀以上の間で初めて石油の純輸入国となり、それ以来、不足量は1日60万バレルにまではね上がった。中国政府が時たま実施する抑制策にもかかわらず、輸入依存は深まりそうである。世界の平均と較べると、いまだに中国の国民1人当たりのエネルギー消費量は40パーセント、1人当たりの石油消費量は1/6より少し多いにすぎない。韓国は、その10倍、日本は20倍、アメリカは30倍の石油消費量である。今後10年間は、自動車革命、成長する工業生産全般及び特にエネルギー集約型の製造部門、拡大する航空旅客という3つの強力なエンジンが拡大する中国の石油需要を推進することとなろう。1994年中国は、その大部分を政府企業向けとして、わずか35万台の自動車を生産した。しかし、中国の中流階級(1世代で2億人を超えると見られる)の中にある自動車保有熱は明らかであり、政府の「人民車」計画によって支援されている。中国の人口を12億人として、路上に3億台の車を走らせるという長期計画は非現実的なものではない。
石油化学製品の生産、中国の大衆のための自動車のように大量の石油を必要とするものは、自動車製造と共に、同国にとっての「21世紀初頭の発展のための4つの程」の1つに指定されてきた。石油化学製品に対する需要の年間増加率は、プラスティック及び肥料を先頭に、優に2桁に達している。中国では、航空旅客は1978年以降毎年20%の率で上昇しているが,依然として全体の旅行者数のわずか6%(広大な国内を往来するには極めて少ない量)にすぎない。次の20年間で、航空燃料の需要は全エネルギー消費量に占める割合が少なくとも2倍に成長することは間違いない。需要の急増は、石油を全く産出せず殆どを輸入に頼っている南東部沿岸地域、特に福建省及び広東省で顕著である。大慶や勝利といった東北郡の油田の産油量は減少しつつあるが、中国にはロシアとの国境に近い新疆地区西部の22万平方マイルのタリム盆地に莫大な埋蔵量があるとされている。タリムは、サウジアラビアの確認埋蔵量2,500億バレル近くをしのぐと指摘する専門家もある。