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米軍の役割は、平時の関与、抑止・紛争防止、そして戦闘・戦勝という国家軍事戦略の三本柱によって規定されている。戦略的状況の進展によって国家政策は変化するが、こうしたの枠組みの中で軍事力を行使していくことは今後とも重視されるであろう。平時および危機時の作戦展開によって地域の経済的・政治的安定を維持することは、海軍・海兵隊チームの伝統的な役割である。こうした役割は、我々が政治的制約を受けずに作戦を展開して戦闘・戦勝を遂行するための基盤的な能力に根差している。前方展開型の海軍力の作戦上の主な利点は、国家軍事戦略の三本柱を同時に遂行する即戦力を提供し、しかもそれをいかなる国家の主権も損なわずに行うことができるということである。この利点の存在理由は、海外領海での作戦展開である。我々の一大特徴は、平時、危機時、紛争時へと迅速に移行できる最高の準備と能力である。このような柔軟な態勢により、早期の戦闘・戦勝、あるいは紛争封じ込めが可能となる。より重要なことは、我々のプレゼンスにより、紛争全体が防止できるということである。どう見ても、平和は戦争よりも安上がりである。

 

我が軍は国家戦略における前方型の役割に最も適したものである。21世紀が近づくにつれ、我々は国防の最先端にとどまるべく革新的なコンセプトと技術を開発し、それらを今後とも活用していく所存である。

 

海軍作戦の実際

 

「前方…海から」は、遠征作戦展開の方策に関するコンセプトの簡素にして強固な基盤となる。我々は前方型海軍作戦を展開することにより、誰からの妨害も受けずに海洋を利用し、米国の影響力とパワーを世界中の沿岸地域に及ぼすことを目的としている。遠征作戦には国家軍事戦略にわたる米国の目的を遂行するものである。遠征作戦は米国本土からのパワー・プロジェクションに代わる有能かつコスト効果のある作戦であり、前方展開軍によって抑制できる、あるいは迅速に対応できる多くの事態に適合した理想的なものである。遠征作戦はより大規模な軍事的対応が必要な時に、本土からのパワー・プロジェクションの効力を補完、支援、そして大幅に増大するものである。

 

我々は沿岸地域内、およびそこを起点としたオペレーションに今後とも注力していく所存である。沿岸内陸部に対しては海洋を起点とした支援および防衛を提供することができる。そこには米国にとって戦略的に重要な地域も含まれている。」。地球上の人口および主要商業中心地の75パーセントは沿岸に存在する。これらの地域こそ米国の影響力とパワーの最大の衝撃を受け、米国の影響力とパワーを最も必要とすることが多い。前方展開型海軍力にとって、沿岸地域は出発点でもあり終着点でもある。戦術的には、内陸から海までの我々の到達可能な距離は、地勢、気象、合同・連合軍の貢献、潜在敵国の能力、我々のミッションの性質に依存する。ミッションによっては、我々の到達範囲は大幅に拡大し、内陸奥地にまで及ぶこともある。

 

我々は海軍の遠征戦力を戦闘司令官たちに提供するために、海兵隊を搭乗させた空母戦闘

 

 

 

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