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航行・環境保護

 

沿岸諸国の排他的経済水域設立に対する消極的態度の第四の理由は、排他的経済水域が同地域の航行の自由を脅かす恐れがあることである。排他的経済水域は多機能水域であり、その目的の一つは海洋環境保護に関係している。したがって、漁船による汚染に関する沿岸国の権限行使は、他の沿岸諸国からは排他的経済水域の航行の自由に対する制約だと解釈される可能性がある。同地域の海洋は商用・軍事用の船舶にとっては重要な航路であり、同地域の大半の沿岸諸国の経済は同地域の妨害されない海洋航路に大きく依存しているのである。この地域の航行の自由の重要性からして、この自由を侵す恐れのある動きが歓迎されないのは至極当然と言えよう。

 

しかし、逆説的なことだが、排他的経済水域の設立は、海洋保護をも拡張する可能性がある。沿岸国の主権を200海里まで拡張すれば、海洋環境保護の点で有利であることは広く認識されている。実際、排他的経済水域が特に海洋交通の激しい地域の海洋管理には有効な手段になる可能性があるという認識が高まっているようである。さらに、排他的経済水域を完全に設立していない国家でも、海洋保護という限られた目的のために200海里水域の設立を現在考慮しているのである。

 

評価

 

要約すると、以上の検討からうかがえることは、北東アジアの排他的経済水域は統合的ではなく、分断的であるということである。経済的・現実的(漁業)、実践的(境界設定)科学的(資源管理)、政治的・戦略的(航行)理由から、沿岸諸国は排他的経済水域の設立にはまだ至っていない。排他的経済水域の設立は将来においても否定されるべきではないし、それは不可能である。しかし、上記の理由は今後しばらくは有意なものとなろう。

 

結語

 

北東アジアの効果的な漁業資源の保全・管理レジームの可能性を模索する上で、同地域の海洋が半閉鎖海であるとうい地理的特徴がより強調されて然るべきである。これを踏まえれば、漁業国家が参照すべきは国連海洋法v(排他的経済水域)ではなく、ix(閉鎖あるいは半閉鎖海)であると言えよう。既に見てきたように、北東アジアの排他的経済水域は境界線画定問題、資源の適切な配分、航行権などをめぐる紛争につながる可能性が高い。したがって、排他的経済水域は、既存の漁業レジームの直面している挑戦に対する十分な解答とは決してならないであろう。こうした挑戦には既存のレジームの依拠するダイナミズムの変化によって拍車がかけられてきたのである。したがって、保全・管理問題の長期的な解決策を模索する上で、

 

 

 

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