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習的な国際法に由来する規定を包含することも想定されており、海上の境界線に関する規定は、他のどの規定よりも直接かつきわどく沿岸国の利益に影響を及ぼすので、最も広範な支援を集めうる規定を制定することが肝要である。

8.海上の境界線画定に関連する新海洋法条約の大きな争点の一つは、境界線画定の標準に関して相対する2つの主張即ち「公正の原則」を支持する(公正グループ)と、もう一つは「等距離原則あるいは方法」(等距離グループ)である。

しかしながら、公正グループはどんな場合でも等距離による方法を完全に排除したものではなく、公正の原則に合致する場合に限り、等距離原則の方法も採用する。

一方、等距離原則の方は、どんな場合でも等距離原則がそのまま適用されるべきであるとは誰も考えない。海底委員会以来等距離線を支持する殆どすべての提案は、公正の原則に対する考慮から「特別なあるいは関連する状況」という語句の挿入によって表現を和らげられてきた。

従って論争の本質は、等距離方法が境界線画定の標準において優越するものであるか否かという点にある。公正グループとは等距離グループが支持する等距離方法にいかなる優越性も認めないグループであった。 (訳者註: 9.は原本に記載なし)

10.長期間のそして困難な交渉の後、新海洋法は最終的に「EEZ/大陸棚の境界線決定は・・・公正な解決を達成するため・・・国際法に基づく合意によって行こなわれるものとする」と規定する74/83条を採択した。

このようにして、最終的に採択されたこの条項は、競合するそれぞれの立場の間の合意ではなく、思慮深い妥協の産物であることは広く知られているところである。

しかしながら、これらの条項は実際に境界線を画定する上での本質的な規範となるべき基準を提示していないようである。

これらの条項は、達成すべき到達点については規定しながら、その実施に際して従うべき方法については何も規定していない。公正な解決を達成するためのプロセスを確認し、計画を立てる任務は国際裁判所、学究的な作業及び国家の事業に任かされている。

11.従って、同条約の74/83条の規定にもかかわらず、北東アジアにおける境界線画定において適用されるべき慣習国際法であると考えられる。

大陸棚あるいはEEZの境界線画定に関する慣習方のルールは、境界線画定は、その殆んどが、公正の原則に基づく合意によってなされるべきであり、関連するあらゆ

 

 

 

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