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方領土から排他的経済水域(EEZ)の重複、例えば北東アジア及び南シナ海に及ぶ。

海上において対立する領有権問題は、主として石油や魚といった資源の利用の可能性に関するレポートによって更に複雑になっている。いずれの資源も涸渇しつつあると言われる地域では、大洋のまっただ中の孤礁の管轄権さえも突如として一か八かの賭けの対照となる可能性は高くなり、稀少資源をめぐる争いは、東南アジアや北東アジアに限らず、ニューファンドランドや北海沖でも安全保障上の問題となった。ニューファンドランドや北海における鱈やひらめをめぐる争いはすんでのところで最も文化程度の高いと思われる2つの発展国の軍事衝突にまで発展するところであった。

東南アジアの自国領土近くで、例えばフィリピン海軍が管轄水域内で武装船舶を追跡し、中国の違法漁船員をだ補した最近の事件(1997年5月)は、このことを示している。南シナ海は炭化水素資源と魚類が豊富であると信じられている。このためどこかの国が権利を主張しつつ勝負に出る。例えばそれが大洋のまっただ中に乏しい国家予算の中から捻出して、ぐらぐらするような不安定な構造物を建設することまで行こなわれた。それは自尊心と偏見の問題であって、彼らはこの2つを破滅的な形でからみ合わせる傾向にあると指摘する人もいる。

南シナ海を含めて東南アジアの海域において懸念される1つの傾向は、軍事力の使用、例えば不法行為を保護する海軍の問題である。これは、違法操業の場合に見受けられる。ある国では国内の圧力によって海軍が他国のEEZ内で違法に操業する自国漁船を保護した例があり、中国人民解放軍海軍が1995年2月のミスチーフ礁事件より以前においても南シナ海において自国漁船に随伴したという証拠がある。

タイ王国海軍は、カンボジア、ビルマ両国の沖合で操業する自国漁民に対する保護を要求する強い圧力にさらされており、最近においては、不法操業のタイ人をだ補しようとした沿岸の治安機関を妨害するため、タイ王国海軍が実力を行使した例がある。これまでのところタイ王国海軍は、タイ漁民による違法操業がはびこるマレーシア、インドネシアあるいはベトナムのEEZ内において事実上の保護を行こなうことに抵抗してきた。しかし、タイ王国海軍が1997年8月スペインから航空母艦の引渡しを受ければ間もなくこれも変わることが考えられる。この空母は表面上は災害救助の任務用に設計されており、タイ王国海軍によれば、海軍作戦用ではないという。しかしながら、この空母の兵装や同艦を指揮艦として用いたいという願望は、何か別のことを示唆しているように思われる。同艦はまた、限定された兵力の投入能力をも狙って設計されている。現時点で断言するに

 

 

 

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