日本財団 図書館


の活動から生じる環境負荷の低減に向けた取組と環境国際協力の積極的な推進を目指している。この計画は、3つの基本理念と、それに基づく5つの基本的方向等に体系づけられている。

 

<基本理念>

・環境への負荷の少ない持続的発展が可能な都市の構築

・都市・生活型公害の克服と快適環境の創造

・環境国際協力の推進

 

<基本的方向>

? 環境との共生による地域発展が図られるまち

都市・地域・人づくりのすみずみにまで環境への配慮に関する考え方を導入し、環境との共生による地域の豊かな発展を目指す。

? 環境に配慮された地域社会や市民生活が形成されるまち

環境に配慮した都市基盤の整備等を促進するとともに、生産・流通・消費・廃棄等の各段階から生じる環境への負荷を積極的に減少させ、環境に配慮した地域社会や市民生活の確立を目指す。

? 公害のない、健康で、快適な生活環境が確保されるまち

大気汚染や水質汚濁などの公害を防止し、大気や水環境など良好な状態を維持しつつ、さらに市民にうるおいとやすらぎを提供する快適な環境づくりを図り、公害のない、健康で快適な生活環境の確保を目指す。

? 恵み豊かな自然が保全され自然とのふれあいが確保されるまち

山や森林、海や川、そこに生息する生き物などの自然や歴史的・文化的な遺産などを良好な状態で維持し、次世代に継承していくとともに、市民とのふれあいの場や機会の確保を目指す。

? 地球環境保全で世界に貢献するまち

市民・事業者・行政などの各主体の自主的・積極的な参加・協力により、地球環境保全対策や、環境国際協力に関する施策を推進し、地球環境の保全で世界に貢献するまちを目指す。

 

この「アジェンダ21北九州」の計画期間は平成7年度から平成17年度で、社会状況等の変化に弾力的に対応していくこととし、また、この計画に基づき、市民・事業者・行政の関係者が環境への配慮を進め、環境負荷の低減に向けた様々な取組を行っていくこととしている。

 

前書きがやや長くなったが、本レポートにおいては、このような公害克服の歴史を踏まえた本市独自の取組を中心として、現在の本市で進行中の事例のいくつかを紹介することとし、その後で課題等につき検討することとしたい。

 

1 北九州市における最も特徴的な取組〜環境産業の育成について(概要)

 

本市において、今最も熱っぽく議論されているのは、環境産業の育成である。

「環境産業」とは、環境への負荷軽減に資する商品・サービスを提供したり、様々な社会経済活動を環境保全型のものに変革させる上で役立つ技術やシステム等を提供するようなビジネスなどを中心とする幅広い概念であり、あらゆる産業分野にまたがる横断的な商品・サービスを提供する産業分野と定義づけられている(平成6年度環境白書からの抜粋)。

現在国においては、容器包装リサイクル法の制定を始めとした廃棄物行政におけるリサイクル化を始め、京都会議で議論されたC02排出削減などかつてないほど環境に対する議論が盛り上がっている。あるいは国際標準規格IS014000シリーズの認定取得など企業においても環境に対して認識を新たにしている状況である。

このような一連の流れを踏まえ、本市では、資源循環型社会の形成とともに地域産業の活性化を目的として、環境産業の振興策に積極的な取組を開始した。すなわち、平成9年には通産省の「エコタウン事業」の承認を受け、また、大学等の研究所の立地が決定するなどの動きが見られる。今後はさらに、本市として、?教育・基礎研究基盤の整備、?環境産業の振興のための技術開発・実証研究の促進、?環境国際協力の推進 という3つの施策を重点課題として戦略的に環境産業の育成に取り組むこととしている。

以下では、この3施策について詳細に紹介するとともに、その実現に向け解決しなければならない課題を論じることとする。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION