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(3)循環型都市社会の構築

都市を健全に維持していくためには、資源を循環的に活用する環境保全型の新しい市民生活や企業活動のスタイルの構築が不可欠であり、市民生活や産業活動がもたらす環境負荷を抑制し、都市活動の基盤となる水、大気、緑等の環境資源を将来にわたって維持し、次代へと引き継いでいく都市のあり方を追求していくことが重要である。

今後とも見込まれる水の使用やエネルギーの消費、廃棄物の増大、自動車公害の進行等、環境負荷の増大をいかに抑制するかが本市の大きな検討課題である。低下してしまった環境の状態を元の水準に引き上げる事後的対応から、環境の状態が低下することを抑制し、環境の質の積極的向上を図っていくような先行的視点からの対応が求められる。

その意味からも、本市の環境特性に配慮した独自の環境アセスメントの導入、太陽エネルギーや天然ガスなどのクリーンエネルギーへの転換と併せて、企業の経済活動においては、企業自身が積極的に環境保全に関する目標や計画を定め、これを実行し、その実行状況や目標の達成状況等を継続的に点検する、いわゆる「環境管理」の実施や、市民生活のあらゆる場面において市民が主体的に環境負荷の低減に努める取り組みが重要である。また、限られた資源の消費を抑制していくための社会システムづくり、関連技術開発、市民意識の醸成等、市民、企業、行政等の各主体の相互協力による、循環型社会の構築をめざす総合的な対応が急務である。

(4)「杜の都」の景観の保全と創造

景観とは、都市固有の自然環境をベースとして、長い年月をかけて行われてきた都市の諸活動や都市整備等の歴史的蓄積である。緑や水の景観が、まさに都市に自然が息づく風土となるためには、そこに多様な生物が生息しうる生態系が保持・創造されていることも重要である。

本市の景観は、近年の人口増加や都市機能の集中等により、急激に変化してきている。「仙台らしさ」を表象する「杜の都」を持続していくために、自然と都市とがバランスよく調和し、個性豊かな、魅力ある景観を形成していくことが必要である。そのためには、これまでの防御主体の景観指導から一歩踏み出し、市民や企業の景観形成への主体的な参画の促進、各種の開発行為や建築物に対する景観誘導など、将来の街並みとしての調和を創造する積極的な視点も求められる。

 

 

 

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