3 札幌の今日的な環境問題
第1章では、札幌の発展と環境問題の変遷について振り返り、また、第2章では、今後の環境行政の取組体制について触れてみたが、ここでは、現在、顕在化しつつある問題として、廃棄物問題と交通問題を、さらに、今後、顕在化すると予想される問題として、エネルギー問題を取り上げてみることとしたい。
(1)廃棄物問題
ごみ問題については、東京をはじめとする大都市においては、昭和50年代から顕在化して、社会問題にまでなっているが、札幌市では、市域が他の政令指定都市に比べて広いことなどから、清掃工場や埋立処分地を整備し、増え続けるごみを処理してきた。(図4参照)
しかし、都市化が進む中で、新たな埋立地の確保が極めて大きな課題となってきており、また、ごみ処理施設の整備には多額の費用を必要とするため、収集・運搬経費も含めたごみ処理費用のコスト節減も財政上の大きな課題となってきている。
今日の大量の資源を使用した上での大量生産、大量消費、大量廃棄という経済システムを背景とした複雑なごみ問題は、ごみを処理する側の努力だけでは解決できないことから、平成5年に、従来から進めてきたごみの適正処理に加え、ごみの発生自体の抑制、減量、リサイクルを柱とする「札幌市廃棄物の減量及び処理に関する条例」を制定し、資源循環型都市づくりに向けた取り組みを始めた。
ソフトの施策としては、同年1月に「さっぽろ・ダイエット・プラン〜札幌市ごみ減量のための行動指針」を策定し、ア 発生の抑制、イ ごみの分別、ウ リサイクルの三つの視点で「1人1日100グラムからのごみ減量」をスローガンとするごみ減量・リサイクル推進運動を行っている。
ハードの施策として、ごみ処理施設の中でも、昭和63年に完成したごみ資源化工場は、事業系ごみを有効利用して、焼却・埋立量の減量を図る目的で建設されたユニークなものである。木くずからボード(合板)の原料や燃料となるチップを生産する工場と、木くず・紙くず・廃プラスチックから固形燃料を生産する燃料工場の2施設から成り立っている。特に、燃料工場で生産した固