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(皿)共用データの整備フロー

統合型GISの構築においては、全庁的な視野に立ち、必要となる空間データを取得する順番・時期・整備主体を明確化した整備フローを策定していくこととなる。

ここでは、主に共用データの整備を取り上げ、個別利用データを含めた全般的なデータ整備に関しては、第3章(4)の整備推進のあり方で記述していくこととする。

共用データは、他のデータを重ね合わせていく際に基盤となるデータであり、共用データ相互のずれを必要最小限におさめることが肝要となる。また、同じデータの整備を複数部署で行うことを防ぎ、全庁的にみてデータ整備における二重投資を回避していくことが求められる。

整備主体の観点からみると、地方公共団体での諸要件を考慮し、個別部署を中心とする整備にするか、全庁的な統合セクションによる整備にするかを決定していくこととなるが、どちらにしても全庁的な調整機能の設定が求められる。

新規に、全てのデータを整備するには、データを取得する順番に配慮していく必要がある。公図を既成図上に展開し地番データを作成した後に、新規にデジタルマッピングを行い、道路等のデータを作成すると、地番データの道路部分とのずれが発生する。したがって、新規にデータを整備する場合は、道路部分をまず確定し、そこに地番・家屋データや都市計画データをのせていく方法が望ましい。次頁において、GIS推進のための環境整備が整った場合における、小規模地方公共団体でのデータ整備フローを例示している。

 

?民間/他の行政団体との連携可能性

まず、庁内における利用者のニーズをベースに、庁外で整備された空間データの利用を実現していくことが基本となる。そして、データを運用していく地方公共団体が、データ品質レベルに関して、必要とする範囲内において自主的な作成や庁外からのデータ収集の併用により効率的にデータ整備を推進していくことが本来の姿である。

具体的な例としては、公益団体の整備した施設関連データを地方公共団体が利用するケースが考えられる。ガス会社や電力会社等では、自社設備の維持管理のために、空間データと連携を図った施設関連データを整備している場合が多い。それらのデータを行政側の上下水道管理や、都市計画等に応用することで、データ整備におけるコスト削減に資することが可能となる。

また、今後は、行政界を超えた広域データ整備の必要性も高まるものと予想される。特に防災の分野においては、阪神大震災の例にも見られる通り、行政界を超えて情報を交換し合うことで、効率的な危機管理や事後的な復興計画の策定等が可能になる。

 

 

 

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