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(?)データ整備の技術

作成技術の選択にあたっては、地方公共団体でのニーズに合わせ、整備するデータの種類に応じて作成技術が選択される。統合型GISでは、特にニーズが高い図形データである道路と土地/家屋データ等は、高い精度で整備し、必要に応じデジタルマッピングや現地測量等の作成技術を利用していくことが望ましい。

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空間データの代表的な作成技法には、デジタルマッピング・マップデジタイズ・現地測量・リモートセンシング等がある。

デジタルマッピングとは、航空写真を元にして、直接ベクターデータを生成し、デジタル地図を作成する方法である。デジタル地図を、アナログ形式を介さず、一貫してデジタル形式で作製する手法であるため、位置精度は高いが、相対的にコストが高い。なおベクターデータとは、点・線・面、言い換えれば、位置座標と線分の集合データである。

また、マップデジタイズとは、紙地図等のアナログ地図を基にして、デジタル地図を作成する方法である。既存の地図を有効に活用できるため、短期間・低コストで作製可能という利点がある。しかし、元となる地図がアナログ地図であり、作業工程も多いため、位置精度の点ではデジタルマッピングに劣る。

次頁の表は、区間データ作成のための技術であるデジタルマッピングとマップデジタイズを比較したものである。

現地測量とは、現地で測量機器を用いて対象物・属性データ等を測量調査し、オンラインで編集システムに取り込み、編集・加工する方法である。これには、衛星を利用した測位システムであるGPSや、距離と角度を同時に測るデジタル測量機器であるトータルステーションによる測量等が含まれる。実際に現地で作業を行う必要があり、一般的にコスト高となる面から、現地測量の利用範囲は制約されてしまうものと考えられる。しかし、GPS測量は、将来的な基準点データのあり方に関連して、利用の拡大が見込まれている面があり、現在注目されている技術であるため、付録B(4)にて、説明を加えていくこととする。

リモートセンシングとは、離れた所から物理的な接触なしに、対象物を同一なものかどうか特定するために、同定・計測・性質分析のいずれかを行う技術である。空間データ作成分野においては、衛星等のセンサーを使った画像分析として扱われており、空中写真からの計測は含まれない。地上解像度がlmを越えるような衛星画像も、1998年から入手できるようになることから大いに期待されるが、地方公共団体での利用可能性は、現時点では未知数である。

共用データの整備において、ニーズが高い図形データである道路や土地/家屋データ等は、高い精度での整備が相応しく、必要に応じデジタルマッピング・マップデジタイズ・現地測量等の作成技術を利用していくこととなる。

 

 

 

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