これから先、住民自治が実現し、本当の民主主義が根付いた立派な夢のある日本になっていくためには、中央のお役人に任せるとか、分権委員会に任せておけばいいということではなく、やはり我々や皆さんが一所懸命にその方向でがんばっていくということでないと進まないわけでございます。まさに皆さんこそが地方分権、住民自治、民主主義というものを作り上げていく原動力なのでございます。
中央集権でナショナルミニマムの達成を目指すというのは、いわば発展途上国の段階であり、計画経済の段階であります。ナショナルミニマム達成後は地方分権と同様に、規制の緩和撤廃ということが必要です。これまで中央の諸官庁はそれぞれの業界を担当し、行政指導を行うなど護送船団方式を進めてきたわけです。しかし、この形では経済というのは伸びてまいりません。規制というのは発展途上の段階はいいと思いますが、ソ連の計画経済の崩壊を見てもおわかりのように、ある発展段階に到達すると、それは機能しないわけでございまして、どうしてもそれから先は市場経済にまかせ、民間の自己責任にまかせていかないと経済は伸びていかないわけです。今、地方分権と並んで、規制の緩和撤廃、あるいは官業の民営化というようなものが叫ばれているのはそういうことだと思います。
知事さんのお話にもございましたけれども、私どもは行政改革会議において省庁再編の作業をしております。これは地方分権を進め、規制の撤廃を進め、あるいは官業の民営化を進めていくという中で、中央省庁を思い切ってスリムにし、中央省庁のやることは企画立案に純化させようとしております。そして中央省庁が立てた企画立案を実際にやるかどうかは内閣が決めることなのです。政治が世論を見ながら決めていくという、これが本来であろうかと思います。そして決まった方針に基づいて、法律を作ったり、ルールを作ったりというのは、やはり行政がやらざるをえないのだと思います。
今までのように、基本的な方針からいろんな規則にいたるまで、全部中央省庁が決めるということではなくて、方針は政治が決め、行政は決まった方針に基づいて、必要最小限のルール作りをやっていくというのが本来の姿ではないかと思います。そうなりますと、かなり中央の省庁はスリムになります。それを大くくりにして、できるだけ縦割りの弊害が生じないようにし、内閣を強化していくべきではないかと思います。