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福祉や医療関係の施設も整ってきており、所得も先ほども申しあげたように、かなり平等になってきています。そういう形で全国が非常に豊かに、そして平等に展開をしてきており、ここまでのところは確かに中央集権というのは非常に効果的であったと思います。

しかし、そういう段階に達した後は、地域によって、当然行政のニーズが多様になってまいります。地域の事情というのはそれぞれ違うわけで、寒い所もあれば、暑い所もあり、過疎の所もあれば、過密の所もあります。また、開発の進んでいる所もあれば、遅れている所もあり、年寄りの多い所もあれば、若い人の多い所もあるわけです。各地域にはいろんな格差があって、しかもすでにナショナルミニマムがある程度整っているのに、全国画一、統一というような形で同じような行政を縦割りで各省がやっていくということになりますと、非常に壮大な無駄をやってしまうことになるのです。ある地域にとっては必要なのだが、他の地域では必要のないものまでも、統一、公平ということで、全国同じようにやってしまうわけです。

その結果として、ある地域にとってはどうしても必要なものが十分にいきわたらなかったり、必要のないものがやってくるというようなことになるわけです。ですからだいたい先進国の水準に達し、ナショナルミニマムが整ってきた段階からは、それぞれの自治体がそれぞれの地域の住民の多数の意思を反映して、行政の優先順位をつけていくというような自主性が非常に大事になってくるわけです。

 

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