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このあたりが、この後の長丁場での地方分権の論議の中にどういうふうに影響してくるのか、そういう点についてもですね、後ほどお伺いをしたいというふうに思っています。今日は、一応の段取りを先ほど打ち合せをいたしまして、これまで今日を入れますと第1次勧告があって、第2次勧告、第3次勧告と、こういうふうにいろいろテーマがあるんですけど、これをむしろ縦割りにしてですね、各何次勧告ということを離れて縦割りにして、その中の課題ごとに取り上げながら、その勧告内容にある程度添いながら、また実践的な話もですね、ぜひ織り交ぜながら話を進めていきたいというふうに思っています。最初に、地方分権の状況が今日まで第3次勧告という形で進んできて、具体的に動いているわけです。今の動いている地方分権の状況、そしてこれからの課題、自分の問題意識などについてですね、パネリストの方々にどういう点を考えておられるのかということを、時間で言うと3分から5分程度ですけど、まず最初に印象論も含めてそのあたりをお伺いをしたいと思っております。それで順番はということはありませんけど、私の近くに座られたのが小笠原さんですので、小笠原村長の方からまずそのあたりについて最初のお話をいただきたいというふうに思います。

 

小笠原

はい。私の方から最初に発言をさせていただきます。戦後、民主主義によりまして国民が追い求めたのは、生活の向上ということだったと思います。そして、その生活の向上ということが、つまり経済の向上ということで中央集権体制の中で進められてきたわけでありますけれども、多くの成果を上げたと同時に制度疲労を起こして、さまざまなひずみを残してきたということが言えると思います。その最たるものが、権限や財源さらに人間や情報を中央に集中させ、活力を地方から奪ったということだろうと思います。私はまさに人間を失いまして過疎化が進み、それに歯止めをかけることができない、そういった山村の村長であります。しかし、人間の価値観が多様化しまして経済的な豊かさから、まさに精神的な豊かさ、心の豊かさを求めるということになってまいりましたし、21世紀は自然や文化、環境との共生を図っていかなければならないと、多くの人が考えるようになってきたわけであります。そういった意味では、私たち山村にとりましていよいよ出番だなと、大変勇気づけられていたというのが地方分権という言葉を聞いての印象だったわけであります。そして、私たちがこれまでそういった状況の中で、現実は現実として将来に向かって元気を出していこうというようなことで村づくりに取り組んでいるわけですけれども、地方分権はまさに「地方よ元気を出せ」というようなことではないかなというふうに受けとめて、期待の念を持って見てきました。しかし反面、本当にそうなのかと。私たちのような、面積は大きいんですけれども財政力の弱い町村は果たしてどうなのかなという心配の念もあったわけです。現実に期待の心配の念と両面から眺めてきて、最近では受け皿論が出てまいりまして、能力があるないという話ですね。

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