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の枠組みの中での地方自治体の自己決定権を広げる」ことに重点を置き、実行可能な部分に焦点を絞ったとし、具体的には奨励的補助金を廃止して一般財源化を進めるという方向を示し、起債等の許可制度の廃止を盛り込んだと説明した。また、小幡教授は、権限の委譲に財源の委譲が伴っていないとする指摘に対して機関委任事務を自治事務に改めるものについては誤解があるとし、分権委員会としては、「機関委任事務は従来から地方公共団体で仕事をしてきたわけであり、自治事務にしたことに伴う財源の手当ては原則として必要ないという理解をしている」と反論した上で、現在、国が行っている事務を新たに地方に委譲するものについては、地方の一般財源の確保を図ると勧告に明記されていると理解を求めた。

 

都道府県と市町村の関係

次に都道府県と市町村との関係に論点を移し、小幡教授が「都道府県と市町村は本来対等であるはずだが、機関委任事務制度の下では上下関係があるかのように位置づけられてきたことから、勧告で対等・協力の関係であるということを明確にした」と述べ、さらに「市町村の事務として処理することが適当なものについては、できるだけ市町村に委譲してもらいたい」と発言し、都道府県から市町村への権限の委譲を求めた。荒巻知事も「市町村への事務委譲を進めて住民に身近な行政を変えていかないと、住民には府県と国で権限争いをしているだけという印象を与える」と述べ、京都府においても市町村への事務委譲を積極的に進めるとの考えを明らかにした。

また、野中町長はこれまで50年もの間、上下・主従の関係が定着しており、人々の意識を改めるのは容易ではないとし、事務委譲などについて市町村が府県と対等に協議するには市長会や町村会が役割を果たさなければならないとの認識を示した。

 

市町村の規模と合併問題

続いて、第4次勧告で市町村を政令指定都市、中核市、人工20万以上の市などに区分し、市町村の規模別の権限委譲が勧告されていることについて、荒巻知事が、同じ市の中でいくつもの類型に分割しているのは混乱を招くと発言し、また、会場からも人口だけでなく、他の要素も考慮すべきではないかとの意見が出された。

これに対し、森田教授は、権限委譲の対象市町村を個別法で個々に定めるよりも「ある程度類型をそろえておいたほうがいいのではないか」と述べた。さらに森田教授が「人口のみを基準にしているのは、人口20万以上の市だけで、指定都市、中核市などは、人日以外の要件も考慮の上で指定されている。既に個別法で市町村に権限委譲されているものをを洗い出すと、ほぼ人口20万ぐらいを一つの基準としており、そのあたりに線が引ける」と説明を加えた。これに対して、野中町長が、たとえ人口2,3万の町村であっても、小さな規模であるからこそ、住民の顔が見え、信頼関係が築けると応酬する一幕もみられた。荒巻知事も市町村の規模については「住民が自分達の団体に直接参加でき、あるいは自治体を動かす人が直接住民と顔を合

 

 

 

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