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メルヘン建物の活用とコミュニティ形成

地域住民のこころの寄りどころとなる小矢部市の地区公民館建設は昭和54年から始まり、昨年度においてすべて修了しました。これら、17地区の公民館は、メルヘンチックな建物として、地域のシンボル、誇りとなるよう周囲の自然環境にマッチした施設として造られています。地域にある公共施設のうちで、公民館は誰しもが最も気軽に利用でき、自由な雰囲気の中で世代交流が行われ、また、地域内の各種団体、グループ・サークルなどが学習する場として地域住民の一人ひとりが自主的に参加しており、コミュニティの形成に大きな役割を担っております。特に近年は地域活動として「核家族化」をはじめ、「青少年の健全育成」「高齢化社会への対応」、「郷土文化の伝承」など地域の身近な生活問題や地域文化の再発見に取り組む地区が増えてきております。

このような背景から小矢部市では、各公民館を拠点として地区コミュニティづくり推進協議会が設立されております。最初に設立されました津沢地区コミュニティづくり推進協議会の事例について述べます。

津沢地区は従来からの居住世帯と市営住宅・雇用促進住宅団地をはじめとする振興住宅世帯が混住しており、お互いの生まれ育った生活環境の違い等から住民の融和がスムーズにいかないことが地域の大きな課題となっていました。年ごとに地域住民の連帯感が弱くなってきたため、意思の疎通を図り、心のふれあいを醸成することが必要となってきたことから住民の「心のふれあい」をめざして、津沢地区コミュニティづくり推進協議会が結成されました。まず、推進協議会で地区住民の誰もが参加できやすいイベントとして住民スポーツ大会、お祭り等の各種行事活動を盛んにして、お互いの交流、面識を深める活動に重点をおきました。

この活動の中で最も効果のあったのは「祭り」でありました。特に津沢で一番大きな祭りである「津沢夜高行燈祭」は、毎年6月第1週の金・土曜日の両日にわたって、27本の大・中・小夜高行燈を老若男女を問わず町内のほとんどの住民が参加して引廻すものです。メインイベントは「喧嘩夜高行燈引き廻し」であり、夜高大行燈同志が2度ぶつかり合うものであり、この瞬間が夜高まつりで生じるエネルギーの焦点とされ、行き手・観客すべての血が踊る醍醐味を有しています。

この行事は、戦後一時中断していたが、高度成長時代が終わり安定成長時代を迎えたころから、住民のなかに地区への愛着が芽生えはじめ、若者たちが中心となって古くからの伝統芸能である夜高大行燈祭の再興を地区住民に呼びかけた結果、児童クラブの夜高行燈づくりがきっかけとなって大行燈が各町内ごとに順次製作されるようになりました。

この夜高行燈は、4月から約2ヶ月の期間をかけて製作され、その間、子供たちや婦人たちも紙貼り作業や色付け作業に参加するなど、住民が一致協力して作りあげています。

新しく転入してきた雇用促進住宅、市営住宅団地等の子供たちと従来から住んでいる地元の子供たちが夜高行燈祭を通じて共同意識を持つようになり、また大人たちも製作に参加することによってお互いが友人となり、各町内に対する愛着を一層深めることになりました。

年々、地域の連帯感が希薄化しつつある中で、私たちの生活の中で身近な察という郷上の伝統文化を伝承するということは、今後ますますコミュニティづくりにおいて重要な意義をもつようになってくると思います。

また、これを契機として現在は、地区運動会、陶芸教室、公民館祭などの行事がみんなの手で自主的に進められるようになったことは、大きな成果と評価できます。

 

交流のまちづくリ

近年、小矢部市は3つの高速道路

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