日本財団 図書館


ことですし,このような我が国の造船の歴史,技術開発のポテンシャル,幅広い関連工業の基盤等から見て,上述の努力を怠らない限り,我が国が21世紀に亘っても造船世界一の座を守って行くことを確信致します。ただ,唯一の気がかりは若い技術者養成です。近年各大学の造船科への志望者数が減少しているとのことですが,我が国の造船が発展した理由の一つが,優秀な技術者が多数現場に配置されていたためであると言われるだけに,技術者の数の減少はボディーブローのように徐々に効いてくるのではないかと懸念します。

若い優秀な技術者を惹きつけるような魅力ある造船業になることを,心から念願して私の講演を終わります。

 

謝辞

この講演を準備するにあたっては,船舶技術研究所の不破健,渡辺巌両博士に資料の蒐集から,文章の添削,およびスライドの作成に至るまで終始お手伝いを頂いた。この記念講演の大役を無事に果たすことができたのも,ひとえに両氏のご援助と励ましの賜であることを銘記して,厚く御礼申し上げる。また戦後の工作法の変遷については秋友素身氏の資料によるところが大きい。ここに謹んで謝意を表したい。また写真をはじめ貴重な資料を御提供頂いた三菱重工業はじめ造船各社,および日本郵船はじめ船会社各社に深く感謝の意を表する。

 

参考文献及び資料(付図に関連するもののみ)

1) 造船協会編:日本近代造船史 明治時代 明治44年,原書房.

2) 造船学会編:日本近代造船史 大正時代 昭和10年,工学書房.

3) 造船学会編:昭和造船史(第一巻 戦前,戦時編)昭和52年,原書房.

造船学会編:日本近代造船史(第二巻 戦後編)昭和48年,原書房.

4) 福井静夫:海軍艦艇史(その1 戦艦,巡洋戦艦)1974年,KKベストセラーズ.

5) 福井静夫:海軍艦艇史(その2 巡洋艦)1980年,KKベストセラーズ.

6) 運輸省海上安全技術局監修:造船統計要覧1971年-1996年)成山堂.

7) 日本造船工業会編:日本造船工業会30年史 昭和55年3月(非売品).

8) 佐久間式:ビジュアル版 日本の技術100年史(造船,鉄道)1987年,筑摩書房.

9) 伊丹敬之:日本の造船業・何時まで世界の王座を守れるか 1992年,NTT出版.

10) 中川敬一郎:戦後日本の海運と造船 1992年,海事産業研究所.

11) 南崎邦夫:船舶建造システムの歩み 1996年,成山堂.

12) 七つの海で一世紀(日本郵船創業100周年記念船舶写真集)昭和60年,日本郵船。

13) 堀正義:過去25年における我が国商船の発達 大正12年,造船協会会報32号.

14) 元良信太郎:元良式動揺制止装置について 大正12年,造船協会会報32号,及び同試験成績 大正14年,会報36号.

15) 今岡純一郎:ばん近我が国における造船の発達 昭和3年,造船協会会報42号.

16) 重光族:過去40年間に於ける本邦商船の発達 昭和12年,造船協会会報60号.

17) 乾崇夫,高幣哲夫,外:球状船首の造波効果に関する水槽実験,およびWaveless Bowの研究(その1)昭和35年,造船協会論文集108号.

18) 乾崇夫,重満通弥,甲斐敬三,高幣哲夫:高速客船くれない丸におけるWaveless Bowの船首波打ち消しに関する研究(その1〜その3)昭和36年,造船協会論文集110号.

 

資料

 

1) 秋友素身:英国BBC・TV放送企画“戦後の日本史”インタビューメモ,1989年3月.

2) 今後の造船業および舶用工業のあり方について,海運造船合理化審議会造船対策部会資料,平成8年7月.

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION