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国際会議報告

 

ICCAS'97開催報告

正員大和裕幸*

 

1 は じ め に

 

1997年10月13日から17日の間,パシフィコ横浜において,日本造船学会百周年事業の一つとして,「造船業におけるコンピュータ応用に関する国際会議」通称ICCAS’97が開催された。筆者はその実行委員会幹事長として実施にあたったので,ここに報告する。

 

2 ICCASについて

 

ICCAS,すなわちInternational Conference on Computer Applications in Shipbuildingは,我が国造船業がもっとも華々しかった1973年に東京の経団連会館でその第一回が開催された。その後3年に一度,欧米各地のほか中国,ブラジルなど世界各地で開催され,9回目にして日本に戻り,一巡した感がある。国際情報処理連合IFIP(International Federation of Information Processing)のWG5.6 Maridme Industriesの傘下にある。その委員長は,ICCASのプログラム委員会委員長も兼ねるKockums Computer SystemsのKaj Johansson氏(スウェーデン)で,委員として, ドイツのJ.Brodda氏,我が国の小山健夫東大教授のお二人が勤めている。前回,1994年のブレーメン会議で日本開催が決定され準備に入った。ICCASは,この分野で唯一の定常的に開催される会議で内容的にも最も高度である。メンバーも世代交代はあるものの,ほぼ定まっており,毎回昔馴染みに会うのが楽しみという風情の和気藹々とした会議である。したがって,参加者の予想なども比較的容易で,論文提出者も大体顔が分かり連絡も取り易く,逆に参加者もあまり行儀の悪いことはしない。準備のしやすい会議である。また,現場指向も強く,大学などアカデミズムからよりも企業等からの報告が多く,Kaj Johansson会長もアカデミズムと産業を程よく調和させることが必要であると繰り返し述べている。システム開発の実状を知るに極めて貴重な機会である。具体的な成果を詳細に紹介するために,会議に併設の展示会を開催している。これだけを見にくる参加者も多かった。

* 東京大学大学院工学系研究科環境海洋工学専攻

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3 国際プログラム委員会(IPC),組織委員会,実行委員会(LOC)と会議会社

 

会議の開催が決定すると,委員会を組織し,場所の選定,開催日時,資金などを決定していく。当初,システム技術委員会で実行関係の検討を行い,その後,日本造船学会内に実行委員会を設置し,会議会社を選定,実行に向けての準備に入った。今回は百周年事業であるので,百周年行事組織委員会をICCAS組織委員会としていただいた。

国際プログラム委員会(IPC)は,数名の交代があるがブレーメン大会をおおむね継承している。表1にメンバーを示す。我が国からは,小山教授のほか,三菱重工業の伊藤健氏が委員である。IPCは,会議の基本的な方針,論文の採択,招待講演の設定,セッションの構成と運営の仕方など,会議全体のあり方を決定する。これを受けて実行委員会では実行する手筈を整えていく。LOCは小山教授を委員長として運輸省,大学,大手造船会社から組織した。表2にそのメンバーを示す。

今回は,仰々しくせず小人数で必要なことだけをやり,最小の努力で実り豊かな楽しい会議としたい,というのが小山委員長はじめ委員一同の基本的方針であ

 

 

 

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