
(12) 空気潤滑による模型船の摩擦抵抗低減実験
佐藤 徹(東大),中田 崇(三井),竹下理人(東大),土屋好寛,宮田秀明(東大)
本実験では,対象を平底の面積が広く船体姿勢変化の小さい大排水量型船舶であるバルクキャリアーの3m模型とし,気膜による摩擦抵抗の低減を確認すると共に,船体姿勢変化による気膜の形態を観察する。イーブントリムでは約30%の摩擦低減となった。この時,空気潤滑による必要エネルギの減少率は20.1%,一方空気供給に要するエネルギは5.4%であり,約15%の省エネとなる。前後トリム付きでは各々の姿勢に応じた気膜の形態があり,被覆面積の減少により低減効果も減少する。これは流れによる船底圧力分布の影響であると考えられる。

(13) 胸鰭運動装置の流体力学的特性
加藤直三(東海大),稲葉忠彦(東海大院)
水中ロボットの操縦性能の観点から,魚が停止状態でその運動を制御するのに重要な役割をすると見られる胸鰭の運動に着目して,その運動の観察と解析,それに基づく胸鰭運動装置単独の流力特性及び胸鰭運動装置一対を左右に装着した魚型水中ロボットの自航.操縦性能について実験解析と理論解析を行った。その結果,魚の胸鰭の2種類の扇ぎかた(リード・ラグ運動,フザリング運動)の組み合わせによって魚の低速時の前進,後進,旋回の運動を作り出していることやリード・ラグ運動とフザリング運動を作る胸鰭運動装置を組み込んだ魚型ロボットは,前進,後退,旋回ができるばかりでなく,横移動も行うことができることがわかったことなどがわかった。

(14) 簡易渦モデルを用いた操縦運動中の主船体流体力の成分分離型数学モデル(その2)
―クロスフロー3次元モデルの付加―
烏野慶一,前川和義(北海道大学)
低速航行時における操縦性能は運航者にとって重要な問題であり,運動シミュレーションに必要な主船体流体力数学モデルの確立が望まれている。前報では,船体を渦でモデル化する事によって斜航特性から旋回特性をも推定できる数学モデルを導いた。しかしクロスフロー流体力成分については明確にモデル化を行っていなかったため,本論文では前報の渦モデルに3次元影響を考慮したクロスフロー流体力の渦モデルを加え,数学モデルをさらに発展させた。

(15) 流線型無人無索潜水艇に働く線形流体力及び操縦性能に関する研究(第2報)―横運動―

台湾大学が開発中の流線型中心縦断面を有する鯨型潜水艇AUV-HM 1テストベッドの横運動特性に着目して,拘束模型試験とBottacciniが整理した経験式に基づいた推定とも行い,特に横運動の安定性について,操縦性指数をもって検討した結果,横方向の運動が不安定であることを明らかにした。テストベッドの方向制御に関するプールテストの結果が示した傾向を裏付けることとなる。

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